今年11月に行われるアメリカ大統領選挙では、1月23日に共和党指名候補争いで、トランプ前大統領がアイオワに次いでニューハンプシャー州でも勝利し、「もしもトランプが勝ったら」の「もしトラ」が現実味を帯び出している。
バイデン現大統領との再戦の可能性が高まっているわけだが、11月に82歳になるバイデン氏には多くのアメリカ人が健康問題に不安を抱いていると言われ、「もしトラ」の可能性は増すばかりだ。
では、トランプ氏に死角がないかと言えばそうでもないようだ。「裁判問題」もその1つだという。
「ニューハンプシャー州での勝利の2日後にトランプ氏は、女性作家が同氏を相手に起した名誉棄損裁判で証言台に立っています。選挙と法廷の2つの戦いでてんてこまいですね。もちろんその他にも大統領時代の機密文書の不正保持やジョージア州選挙への圧力など4つの刑事裁判を抱えていて、訴訟費用だけで30億円を超えると報じられています」(外信部記者)
一方のバイデン陣営は、昨年10~12月の3カ月間で、過去最高の約143億円もの選挙資金を集めており、資金面での不安はないようだ。
「バイデン陣営が集めた資金は、200ドル未満の小口の献金が多く、背景として、どうしてもトランプだけには勝たせたくないといった人たちの声の多さがあるようです。また、トランプ氏の連勝で『もしトラ』の可能性が高まったことを受け、バイデン陣営は『ともにトランプに打ち勝とう、再び』と書かれたTシャツの販売を始めました。もっとも、小物販売はトランプ氏のほうが先駆けており、同氏は昨年8月に大統領経験者として初めて撮られたマグショット(逮捕時の写真)をあしらったTシャツやマグカップを販売し、1日で6億円以上の資金を集めたとされます」(前出・記者)
とはいえ、上記の名誉棄損の訴訟では、26日に地裁陪審員がトランプ氏の悪意を認めて約123億円という巨額の賠償金の支払いを命じている。トランプ氏は上訴の意向を示し、SNSでは「バイデン主導の魔女狩りだ」などとうそぶいてもいるのだが、こうした訴訟の行方は少なからず大統領選に影響すると見られている。
トランプ氏にとって複数の裁判は目の上のやっかいなたんこぶに違いない。
(猫間滋)