相撲協会の思うツボ…元白鵬の宮城野部屋「再興」を消滅させる転籍力士“大量引退”

 日本相撲協会の定例理事会が5月30日に開かれたが、一時閉鎖中の宮城野部屋の再興については議題には上がらなかった。宮城野親方(元横綱白鵬)は、来場所も伊勢ケ浜部屋の(元横綱旭富士)部屋付き親方として活動することになる。

 現在、宮城野親方については転属先の伊勢ケ浜親方、浅香山親方(元大関魁皇)の両親方が“お目付け役”となり、その言動を協会執行部に場所ごとに報告することになっている。

「最終的には八角理事長(元横綱北勝海)が首を縦に降らない限り、宮城野部屋再興のスタートはあり得ません。そんななか、今回は再興を認めるわけにはいかない出来事出来がありました」(相撲担当記者)

 それは今場所、全休していた旧宮城野部屋勢の力士4人が「引退届」を出したことだ。旧宮城野勢の力士は、ほとんどが宮城野親方が現地に出向きスカウトし、入門させている。

「例えば引退を決めた西幕下51枚目の宝香鵬は、宮城野親方が現役の大関時代にスカウトした力士。高校を中退して宮城野部屋に入門し、白鵬引退興行では弓取り式も務めました。2人の信頼関係は厚く、宝香鵬は20年近く白鵬を師匠として慕い続けてきました」(夕刊紙記者)

 宝香鵬が引退を決断した理由は、伊勢ケ浜部屋への転籍だ。ある力士は「協会は“力士ファースト”などと言っておきながら、実際はそうではなかった」と複雑な胸中を明かしているが、協会執行部からすれば宮城野勢の“集団引退”は宮城野親方の責任という解釈も十分に成り立つ。

「宮城野部屋では今場所前にすでに1人が辞めており、部屋の一時閉鎖で5人もの力士が志半ばで引退を決めた。今後も場所ごとに引退希望者が出てくる可能性は高い。八角理事長と宮城野親方の関係が、それこそ2018年に協会を去った貴乃花親方以上に冷え切っているなか、黙っていても宮城野部屋が崩壊していく流れ。協会執行部としては、まさに願ったり叶ったりの状況といえます」(前出・夕刊紙記者)

 宮城野親方はどこまで耐えられるか。

(小田龍司)

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