「裁判官は死んでも替えが利く」プーチンに逮捕状を出した「日本人女性判事」の屈強素顔!

 ロシアのプーチン大統領が12月9日、ようやく2024年に行われる大統領選に立候補する意向を表明した、と現地メディアが報じた。有力な対抗馬がいない中、よほどの大どんでん返しでもない限り、プーチン氏の通算5期目確定は間違いなく、任期は2030年代まで続くことになる。

 そんなプーチン氏に対し、国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を発付したのは2023年3月のことだった。容疑は、ウクライナ占領地からの子どもの連れ去りに関与したとする戦争犯罪だ。これ以降、同氏は同盟国への行き来はあったものの、さすがにICC加盟国への訪問は控えていた。なぜなら、ICC加盟国には、プーチン氏が自国に入国した場合、逮捕状を執行する義務があるからだ。8月22~24日に行われた新興5カ国(BRICS)首脳会議では、主催国で開催地でもある南アフリカがICC加盟国であるため、プーチン氏はオンラインでの参加にとどまった。

「プーチン氏は6日には、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)を訪問し、両国との関係強化に加え、イスラエルとイスラム主義組織ハマスの衝突、並びに国際政治についての話し合いを行ったとされます。UAEとサウジアラビア両国は、いずれもICCに加盟していませんからね。中東問題解決に向け積極的仲介をアピールすることで、西側のウクライナ侵攻に対する関心をそらしたいという狙いもあるのでしょう。ただ、ICCの逮捕状には期限がありません。そのため、今後のプーチン氏の外交政策に制約が出るのは必至です」(全国国際部紙記者)

 ところで、この逮捕状を発付した判事の1人は、ICCの「日本人女性判事」である赤根智子氏だった。司法記者が語る。

「赤根氏は東京大学法学部を卒業後、1982年に検事となり、名古屋、仙台、東京など各地方検察庁に勤務した後、法整備支援にも携わる法務省法務総合研究所国際協力部長などを歴任しました。その後、日本人3人目となるICC判事に就任したという超エリートです。ただ、反発するロシアは2023年7月27日、主任検察官や赤根氏らICCの判事3人を同国の刑法違反容疑で指名手配するという明らかな報復措置に出ています。ただでさえ、暗殺や謎の不審死が後を絶たないロシアのこと。万が一にも赤根氏に危害が及ばないよう、万全なセキュリティ体制の強化が求められています」

 そんな赤根氏が6日、ニューヨークの国連本部で記者団の取材に応じ、「裁判官が死んでも代わりがいる」と語ったことが、日本でも大きく報道された。

 同氏は、ロシアによる指名手配に対しても「予想はしていましたよ。当然のことながら。国内的には『敵』に対して逮捕状を出したりという話は聞きますので」とした上で、身の危険は感じないのか、との質問に対してはこう明言した。

「そういうメンタリティーがちょっとないですね。裁判官は仮に1人が死んだとしても、いくらでも替えが利くものですから、別に狙う価値はないわけですよね」

 そのまなざしには何者にも屈しないという強い意志が表れていたのである。

(灯倫太郎)

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