習近平の面目丸潰れ!「ロシア軍に中国兵士参戦」ゼレンスキーの釘刺し事情

 事実上の軍事同盟を結び、政治的合意によって1万1000人の人民軍兵士をウクライナ戦争の最前線に送ってきた北朝鮮。一方、中国は表向き「軍事的支援はしない」と強調し、「中立国」というスタンスを国際社会にアピールしてきた。

 ところが4月8日、首都キーウで記者会見を開いたゼレンスキー大統領が、東部ドネツク州でロシア軍兵士として戦闘に参加していた中国人兵士2人を捕虜として拘束したとして、中国側に詳しい説明を求めると訴えたのだ。外信部記者の話。

「ゼレンスキー氏は捕虜にした2人の中国人兵士に対する尋問の様子をSNSで公開していますが、ウクライナ保安庁によれば、1人は中国国内でロシアの関係者からスカウトされて入隊。もう1人は観光でロシア滞在中、入隊すれば200万ルーブル(340万円)を支給するという、兵士募集広告を見て参戦したと語っています」

 驚くことに2人ともそれまでに戦闘経験はゼロ。初の戦闘参加で、それぞれ別の場所で捕虜になったそうだが、拘束時、身分証明書とパスポート、クレジットカードも所持品。うち1人は、ロシア市民権を得るために30万ルーブルを支払いロシア軍に入隊したと供述している。

 ゼレンスキー氏の動画配信の背景には、むろん中国側への牽制の意味合いがあることは言うまでもない。さらに同氏は会見で、「現状、ロシア軍に参加する中国人兵士は155人にのぼることが確認されている。北朝鮮人民軍はロシア西部クルスク州でウクライナ軍と戦ったが、中国人兵士はウクライナ領内で戦っている。この違いは重要であり、我々のパートナーと話し合う必要がある」と西側諸国に訴えた。

 この記者会見を受け9日、中国外務省の林剣報道官は、ロシア軍側に多くの中国人兵士がいるという情報に対し、「こうした言説にはまったく根拠がない。ウクライナ側は中国がウクライナ危機の政治的解決のために行ってきた努力と建設的な役割を正しく評価すべきだ」と述べ、「中国政府は常に自国民に対して武力衝突に巻き込まれることを避け、特にいずれか一方の軍事行動に参加することを避けるよう求めている」として、今回の参戦はあくまでも個人の行動であるとして、百数十人規模での参戦を「根も葉もないうわさ」だと改めて否定した。

 とはいえ、ロシア軍が兵士不足にあることは隠しようのない事実。ウクライナ軍の推定によれば、ドネツク州ポクロフスクの戦闘におけるロシア兵の死者は約7000人。負傷者の数を合わせると1万4000~1万5000人が戦線から離脱。今年1月~3月までで5万人近い死傷者が出たとされている。いかに刑務所の囚人たちをスカウトしても、北朝鮮兵士を投入しても、結局、兵士と武器弾薬不足が解決することがないのだ。

「ロシアには人身売買を仕事にした組織が数多く存在します。彼らはこれまでも雇用とロシア国籍取得を餌に2000人以上のネパール人男性や、数百人規模のイエメン人、キューバ人男性のほか、高額報酬を払うとしてインド人男性も戦争に駆り出してきました。インド人はモディ首相がプーチン氏と会談し除隊で合意しましたが、一部報道ではすでに数百人の中国人が、ネパールや中央アジア人兵士らとともに傭兵としてロシア軍に参戦している、と報じられています。万年兵士不足が続くロシアとしては、来る者は拒まずの状態でしょうから、今後も金目当ての中国人兵士が増えることは十分考えられるでしょうね」(同)

 今回の件で、結果的にメンツを潰されることになった習近平政権。この状況にほくそ笑むのは、ウクライナよりもホワイトハウスであることは間違いなさそうだ。

(灯倫太郎)

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