【韓国】新ファーストレディーも公選法違反容疑で裁判中…李在明政権を揺るがす「1万円接待」

 高級ブランドで固めたフッションの印象が強い前ファーストレディー金建希(キム・ゴンヒ)氏とは対照的に、新大統領・李在明(イ・ジェミョン)氏の妻・金恵景(キム・ヘギョン)氏の装いは清楚で、雰囲気もどちらかといえば地味な感じに見えるのだが…。

 金氏は1966年、ソウルの中産階級家庭に生まれ、ソヌァ芸術高校を経て、名門・淑明女子大学音楽学部ピアノ科に入学。同校を卒業後、音楽教師だった1990年8月、オーストリアへの音楽留学を準備していた頃に、同じ教会に通っていた兄の紹介で知り合ったのが、夫・李氏だったのだという。当時、李氏は弁護士として事務所を開業したばかりだったが、夫人に一目ぼれした李氏は毎日のように夫人をデートに誘い、なんと4日でプロポーズしたという。

 李氏は、その後、城南市長から京畿道知事を経て共に民主党代表となり、今年の選挙で韓国の大統領に就任したというわけだ。ところが、李氏が「最愛の伴侶」とする金夫人は今、検察の標的として公職選挙法違反容疑で裁判中の身でもある。

「検察側の主張によれば、李氏が前回2021年の大統領選前における党内予備選出馬の際、夫人がソウル市内の飲食店で党関係者らに対し、京畿道が所有する法人カードを使用して、10万4000ウォン(約1万700円)相当の食事を提供。これが買収にあたるとして公職選挙法違反に問われているんです。金額はわずか1万円程度ですが、有罪が確定した場合、多かれ少なかれ現政権のイメージダウンにつながることは必至。裁判は一審・二審ともに有罪判決を受け、現在、最高裁に上告中ですが、前ファーストレディーの買収問題で国民の関心が高まる中ですからね。こちらの裁判の行方にも注目が集まっています」(同)

 李氏が夫人に、弁護士を辞めて政治の道に進みたいとの意向を伝えた際、当初、夫人は「政治家になるなら、離婚届に判を押して出て行ってください」と強硬に反対したのだとか。結局は夫の熱意にほだされ、結果応援することを決めたものの、表舞台に出ることを嫌い、あくまでも陰から夫を支える姿勢を貫いてきた、という美談もあるが…。

「22年の大統領選敗北後、夫人が検察のターゲットになり起訴された際には、李氏は『長期にわたる報復的な捜査の果てに妻が犠牲となった。申し訳なくて、死にたいほど辛い』と、怒りに震えたとも伝えられています。さらに、6月2日に出演したYouTube番組でも『何の罪もない子どもや妻が巻き込まれてしまった』と唇をかみしめるシーンがありましたが、最高裁で二審判決が維持されれば、野党から猛批判が起こることは間違いない。一部では、早くも、この裁判を機に金夫人が現政権のアキレス腱になるとも報道もありますからね。裁判の行方が気になるばかりです」(同)

「立場が人を作る」と言われるが、韓国の場合、トップが変われば国が変わると言われている。そして、権力を持てばその人間や回りも当然影響を受けるはずだ。ファーストレディーとなった金夫人の動向に今、韓国国民の厳しい視線が送られている。

(文:灯倫太郎)

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