各地でロックダウンが相次ぐなど「ゼロコロナ政策」を強硬に押し進める中国で、今度はなんと、魚やカニ、エビにまで新型コロナウイルスの検査を行い始めたことがわかった。
18日付のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙によれば、中国南東部の港湾都市のアモイ(厦門)市当局は、水揚げされた魚にウイルスの検査をするよう指示しているという。その理由として、一部の漁師が海上で他の船舶と接触、違法な取引をしたことでウイルスを持ち込んだため、としている。
中国の国内事情に詳しいジャーナリストが語る。
「同市の漁師たちは海上の作業期間中は毎日1回のPCR検査を実施していて、陸に上がる際にも必ずPCR検査を受けることが義務付けられています。ところが、7月22日に当局から突然、《2022年6月以降、福建省ショウ州(ショウはサンズイに章)、霞浦、平潭などで、漁船の船員が海上で境外の船と違法取引、規則違反の接触をしたことによる新型コロナウイルスの流入が相次ぎ、極めて大きな社会的危害をもたらした》との文書が漁師たちに配布され、漁師へのPCR検査だけではなく、捕れた魚についても検査をするよう指示されたのです。とはいえ、専門家の間でも、魚が新型コロナウイルスに感染することは事実上不可能で、万が一感染したとしてもそれが人間に広がることなどあり得ないとされています。いかにゼロコロナ政策とはいえ、荒唐無稽な措置と言わざるを得ないでしょうね」
地元メディアに、カニやエビ、魚などの口に綿棒を入れる同市職員たちの動画や写真が掲載されると、SNS上には批判や嘲笑が噴出した。
《また政府による金の無駄使いが始まったぞ!いい加減にしてくれ!》《エビ、カニは暴れるから口を開けるのは手間がかかるだろうな。いったい何人投入するんだよ?》《魚を検査するなら、やっぱり網も検査しなけりゃまずいんじゃないの?》《次は海水とか、飛んできた鳥を検査しろと言い出さないかどうか不安しかない》
「3月下旬に集団感染が発生した上海では、医療従事者らが海産物市場に立ち入り、魚の検査を実施。8月にロックダウンが行われた丹東市でも、医療従事者らが船に乗り込み、魚のコロナ検査を行ったと報じられましたが、どちらも原因を特定するには至らなかった。結局何が原因なのかいまだに明らかになっていないことが『怪しいものはすべてPCR検査を!』という流れに繋がっていると考えられます」(前出・ジャーナリスト)
秋に共産党大会が控えていることもあり、中国政府としては是が非でもゼロコロナを実現したいのだろうが…。
(灯倫太郎)