習近平が米追加関税に加え「新型コロナ賠償」でいよいよブチ切れる「市場大混乱」

 トランプ政権による「相互関税」発表を受け、翌4月3日、世界の株式市場に衝撃が走った。東京株式市場の日経平均株価は前日比で下げ幅が一時1600円を超え、3万5000円を割り込むなど大幅に下落。4日、米ニューヨーク株式市場のダウ平均株価も1日の下げ幅としては、史上3番目となる前日比2231ドル安の3万8314ドルと大幅に続落した。

 この株価下落要因の一つとなったのが、同時に発表された中国による米国への34%の追加関税、つまりアメリカへの報復措置であることはいうまでもない。

「中国は34%の報復関税に加え、7種類のレアアースの輸出規制や鶏肉などを輸出するアメリカ企業の輸出許可を取り消したほか、世界貿易機関(WTO)への提訴などの措置を打ち出しています。中国側の対応に対し、トランプ氏は即座にSNS上で《中国はしくじった。パニックに陥ったからだ。彼らにとってやってはいけないことをやってしまった》と投稿。かねてから米国の関税に対して報復関税を課した国に対しては、関税率をさらに引き上げると語っていたこともあり、金融市場には米中間での報復関税応酬が激化。結果、それが世界経済をさらに混乱させるとの懸念が広がり、株価に反映したということです」(経済部記者)

 ただでさえ、習近平氏としてはトランプ氏が自国に課した34%追加関税に怒り心頭のところ。さらに、習氏の神経を逆なでする、ある動きが米国内で起こっているという。

 それが、中国政府に3.6兆円の賠償を命じた「ミズーリ判決」だ。前述の記者が語る。

「この判決はミズーリ連邦地方裁判所が3月7日、中国共産党に対し、新型コロナウイルスの存在を隠蔽し初期対策を怠ったとして、240億ドル(約3.6兆円)の賠償を命じたもの。判決理由はパンデミック当初に中国政府の関連機関が、情報開示を意図的に抑制したばかりか虚偽情報を流し、パンデミック初期からミズー州では中国政府関連機関による防護服買い占めが起こり、防具服不足で価格が高騰。州全体がパニックになったとして、ミズーリ州政府が2020年4月に起こしていました。この判決により、今後同裁判所は州にある中国人所有の資産を差し押さえ、賠償金に充てるとしていることから、むろん中国側の猛反発は必至。大きな波紋が広がることは間違いないでしょう」(同)

 今回の「ミズーリ判決」での勝訴を受け、同州に習えとばかりに次々に全米各州が同様の訴訟提起を行うであろうことは想像に難しくない。そうなった場合、なんでもありのトランプ政権だ。あるいは政府が一挙にまとめて新型コロナによるパンデミックでの「賠償責任要求」を中国側に課す目的で新たな関税を導入する、といったウルトラCの可能性も否定できないだろう。

「中国では李強首相が3月24日、国益を害する制裁を行う外国政府や機関に対して、現金・株式のほか、知識財産権などの資産凍結が可能となる反外国制裁法実施規定に署名するなど、対抗策に出ています。とはいえ、中国は現在もなお新疆、香港、人権問題等で、米国をはじめ西側諸国から各種制裁を受けていることもあり、仮にパンデミックによる賠償課税的なものが導入された場合、中国側がなんらかの追加制裁に反撃してくることは間違いない。報復合戦が続けば市場は敏感に反応するでしょうから、結果、株価が下落するという負のスパイラルがしばらく続きそうです」(同)

 目には目を、歯には歯を…。米国VS中国の報復合戦は、今後世界にどんな影響を与えるのだろうか。

(灯倫太郎)

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