中国がパキスタン支援でプロパガンダ攻勢!インド激怒の「戦闘機“替え歌”動画」

 カシミール地方の領有権争いを背景に、インドとパキスタンによる大規模な武力衝突が勃発したのは5月7日のこと。しかし開戦3日目にして両国による劇的な停戦となったことで、現在も軍事境界線一帯では散発的な衝突が続くも、戦禍拡大の可能性は消えつつあるようだ。

 そんな今回のインド対パキスタンによる武力衝突において、世界の軍事当局者や専門家などから改めて注目されたのが、対空戦で用いられた両国の最新鋭戦闘機だ。

 インドからは最上級主力機として運用されているフランス製戦闘機ラファールが発動。一方、パキスタン側は価格がラファールの3分の1と言われる“格下”中国製戦闘機「J-10C(殲-10C)」が実戦投入された。ところが、現存する戦闘機の中でも最高峰とされるラファールが、J-10Cが発射した空対空ミサイルにより撃ち落されたというのである。パキスタン側はすぐにラファール3機を撃墜したと公式に発表。しかし、インド側が今もってこの事実について完黙している。

「ラファール戦闘機の残骸や落下した部品のほか、パキスタン側が傍受したインド側操縦士の通信内容などにより、米英仏いずれもラファールが撃墜されたという事実を認めています。ただ、それがパキスタンの発表通り本当に3機だったのか。またJ-10Cから発射された空対空ミサイルなのかについては、はっきりせず、パキスタン防空システムから発射された地対空ミサイルにより撃墜された可能性も言及されています。しかし、いずれにせよユニット価格で3分の1程度の中国製戦闘機にフランスの最新鋭戦闘機が迎撃されたことが、諸外国の軍事当局者に大きな衝撃として受け止められたことは間違いありません」(国際部記者)

 いずれにせよ、大活躍した「J-10C」の提供元である中国とパキスタンとは、双方を「鉄壁な友情」と称するほど緊密な協力関係にあり、中国でもこの喜ばしいニュースは驚きと歓喜の声を持って新聞やテレビ等で報じられているそうだが…。

「悲しいかな、近年は中国の若者たちの多くが新華社通信や人民日報といった新聞はおろか、国営中央テレビ(CCTV)すら観ない。外交部定例会見での報道官発表などにもまったく関心がありません。そこで、当局としては何とか若者の関心を集めるため試行錯誤を繰り返し、政府にとってデメリットがないものであれば、多少毒のあるエンタメも容認することでプロパガンダに利用しようと考えた。それが今、中国の若者たちの間で大人気の『パロディ映像』という新たな宣伝戦ツールなんです」(同)

 4月に新華社通信が制作したSF短編動画「塔・里・夫」では、「トランプ関税」を強烈に皮肉り中国の若者たちの絶大な支持を獲得したが、その第2弾とも言えるのが、5月8日にアップされた「買ったばかりの飛行機が撃たれた」と題する、1分12秒の歌謡動画だ。

「この曲は中国人ユーチューバー歌手が3人の仲間とインド人に扮し、インド往年のヒット曲『Tunak Tunak Tun』を替え歌にして『ボロ飛行機。国外に出る前に散ってしまった。レーダーもすべて破壊された。一機も帰還できなかった。90億(ドル)が皆消え』などと歌うもの。これがパキスタン贔屓の中国の若者たちに大いにウケた。通常中国では政治的なネタは検閲で『不謹慎だ』となり削除されることも多いのですが、このパロディ動画はいわば野放し。つまり、間接的には政府が後押ししていると言えるわけです」(同)

 ただ、このパロディ動画プロパガンダにインド人が激怒していることは言うまでもなく、中国とインドとの犬猿関係がさらなる激しさを増すことなりそうだ。

(灯倫太郎)

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