英国では争奪戦で大騒動!中国発「ラブブ」ぬいぐるみが世界的大ヒットの背景

 中国の玩具メーカー「POP MART」が発売するぬいぐるみ「ラブブ」が、東南アジアをはじめ全世界で大人気になっている。

「ラブブ」は、うさぎのような耳に大きなたれ目をした丸顔の女の子で、デザインしたのは香港出身、オランダ育ちのイラストレーター、カシン・ロン氏。通常は日本のガチャガチャと同様、大手ショッピングモールなどに設置された自動販売機で「ブラインドボックス」というカプセルトイに入った形で販売されているのだが、これがZ世代の若者たちを中心に大人気に。英国では取り扱うショップ前に大行列ができ、大喧嘩による争奪戦が始まるなど、あちこちで騒動が勃発。問題を重く見た販売元が英国全土での店頭販売を全面停止する騒ぎに発展したことが、大手メディアでも報じられた。

「POP MARTは2010年に中国で設立された玩具メーカーですが、急速に『ラブブ』人気が高まったのは2015年以降のこと。K-POPの人気グループ、BLACKPINKのリサはじめ、欧米のセレブの間が愛用するようになり、それがSNSで拡散されたことで人気に火が付いたようです」(エンタメ誌ライター)

 日本にはその昔から、開封するまで中身が分からない「カプセルトイ」があり、なにも珍しいことではないのだが、「中身を見ずに買う」という習慣のない海外では、この「ブラインドボックス」方式も大きな魅力の一つになったようだ。

「『ラブブ』は『ザ・モンスターズ』シリーズに登場するキャラクターの一つで、この世界的大ヒットにより、POP MARTの昨年度の海外売上高は、なんと前年の375,2%増の50億7000万元(現在のレートで約1007億円)に急伸したといいます。最近でも新キャラクターが続々発売されていることもあり、今年はさらに売り上げの急増が予想されています」(同)

 現在、アジア各国で販売されている新作ラブブの価格は13~16ドル、日本円にすれば1900円~2300円超といったところだが、発売すると同時に各国の転売サイトでは、数十倍の値段で転売されることも日常だという。

「いつの時代にも、推しを応援するため、彼らをイメージしたぬいぐるみ『推しぬい』をそばに置いて大切にするファンはいるもの。2017年には、BTSメンバーがデザインした『BT21』というキャラクターがぬいぐるみが人気になったことで、最近ではアイドル自身が自分たちをデフォルメしたぬいぐるみを公式グッズとして販売するケースが増えています。これらのキャラクター商品はネットでも購入できますが、ライブ会場限定販売ともなれば、ファンにとっては垂涎の的。しかも近年では、男性がぬいぐるみを大切にしていてもさほど違和感がない時代になってきた。世界的ぬいぐるみ人気の背景にはそんな要因もあるようです」(同)

 つまり、性別や年齢、国籍を超えて、誰もが、どんなぬいぐるみを持っていても不思議ではない時代になったということか。さらに、その写真をSNSにあげれば共感も広がる…。今後も2匹目、3匹目のドジョウを狙い、世界の各メーカーが「ポスト・ラブブ」にしのぎを削ることは間違いなさそうだ。

(灯倫太郎)

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