和歌山・アドベンチャーワールドのパンダ返還決定|中国との関係と飼育コストを解説

 先日、飼育しているパンダ4頭の中国への返還を発表した和歌山県白浜町のアドベンチャーワールド。動物園と水族館、遊園地がひとつになった県下最大のテーマパークだ。

 同園では1988年に3カ月の期間限定でパンダを展示したこともあったが、常設展示が始まったのは、中国の成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地との共同プロジェクトが始まった94年のこと。現在飼育中のラウヒン(24歳)、ユイヒン(8歳)、サイヒン(6歳)、フウヒン(4歳)は全てメスで、いずれもアドベンチャーワールドで誕生している。それでも返還しなければならないのは、あくまで所有権は中国側にあるためだ。

 帰国は6月末ごろの予定で、これにより国内のパンダは上野動物園の2頭のみに。そもそもパンダは中国の固有種のため、すべて同国からの貸し出し。中国と日本以外で飼育されている動物は、世界でも20施設ほどだ。

「実は、関係が悪化している米国の動物園にも貸し出されており、中国による“パンダ外交”なんて呼ばれたりしています」(中国事情に詳しい全国紙記者)

 ただし、どの動物園も高額なレンタル料を支払っており、上野動物園の2頭のパンダは年間95万ドル(約1億3500万円)とも言われている。しかも、エサ代をはじめとするレンタル料以外の飼育にかかる費用は、すべて受け入れ側の施設の負担だ。

 ちなみに元動物園の獣医という経歴を持つ北澤功氏の著書「妄想お金ガイド パンダを飼ったらいくらかかる?」(日経ナショナルジオグラフィック)によると、レンタル料を除いたエサ代や医療費、水道光熱費などの1カ月あたりの飼育費用は約50万円。同書の金額は、一般家庭で飼った場合の“空想上の概算”のため、動物園での飼育費用はさらに高額になるのは間違いない。

「ただ、日本だとパンダは数ある動物の中でも集客効果はもっとも高い。動物園にとっては飼育コスト以上の経済効果をもたらしてくれます」(同)

 高いレンタル料を払ってもそれに見合うだけでの恩恵は得られるようだ。

※画像は、貸し出し元の中国・成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地のパンダ

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