現在、タクシーの運賃は基本的に普通料金と深夜・早朝割増料金の2種類のみだが、国土交通省は運賃を日時や天候、客足などによって変動させる「ダイナミック・プライシング」の導入を検討していることが明らかとなった。年内に実証実験を開始するというが、ユーザーからはこれに懸念の声が相次いでいる。
「ダイナミック・プライシングとは、消費者の需要と供給に応じて価格を変動させる制度。例えばタクシーに当てはめれば、悪天候や終電後、大規模イベントの開催時など利用客が多いタイミングにはタクシーの運賃が高くなり、利用者の少ない平日の日中などは逆に運賃が安くなります。これにより、利用者の全体的な底上げが期待されるわけです」(社会部記者)
この制度が導入されると、走行距離と乗車時間で運賃が決まるメーターから、GPSで走行距離を計算する新メーターが採用される。利用者は事前にスマホでタクシーを予約し、その段階で運賃が提示されるので利用するかどうかを判断することとなる。
しかしネット上では、《きちんと運賃を確認しなかった利用者とのトラブルが激増する未来しか見えない。ただでさえ料金トラブルの多い業界だし》《つまり料金が安い時間帯の客が増え、高い時間帯の客が減ることになるから、仕事量は同じでもドライバー的には収入が減るのでは?》《天候って、また微妙な要素が絡むな。雨降ってる時に乗って途中で晴れたら利用者は納得いかないだろうな》など批判的な意見が多く見られる。
「ダイナミック・プライシングはウーバーなど海外の配車アプリですでに導入されているため、旅行などで経験のある人もいるのではないでしょうか。導入となれば、日本のタクシー運賃も世界基準に合わせることになりますが、直後は確実にトラブルや混乱が起こると見られます。コロナでタクシーの利用者が減り、乗客も何かと過敏になっているタイミングでテストするべきことなのか、国交省の判断で進めるべきことなのかも含め、疑問が残りますね(ITジャーナリスト)
結果的にタクシー業界も利用客も納得できる形になればいいが。
(小林洋三)