安倍晋三首相が4月1日、新型コロナウイルス特措法に基づく政府対策本部で、緊急経済対策の一環として1世帯あたりマスク2枚を配布すると表明した。安倍首相はマスクについて「布製で、洗うことにより再利用可能」「急激に拡大するマスク需要に対応する上で極めて有効だ」と述べたが、各界から総ツッコミが飛んでいる。
尾木ママこと教育評論家の尾木直樹氏は1日、自身のブログで「何を考えておられるのでしょうか? 今はそんなレベルの話じゃないでしょう」と呆れ、落語家の立川志らくは「グッとラック!」(TBS系)で「最初にお金でマスクは後」と、順番が違うと批判し、続けて「B29が飛んできたのに竹槍で戦う発想に見えちゃう」と例えた。
作家の室井佑月氏は2日に放送された「ひるおび!」(TBS系)で「どうして現金を給付できないんだろう? 本当にケチくさい政権」とこき下ろし、俳優・高橋克実も2日の「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ系)で、「これ、送る必要あるのか…こういうことを先にやることなのか、もっと先にやることがあるんじゃないのか」と疑問を投げかけた。
また、小説家の百田尚樹氏は1日、自身のツイッターを更新し、「一つの家庭に2枚の布マスク? なんやねん、それ。大臣が勢揃いして決めたのがそれかい! アホの集まりか。全世帯に郵便で2枚のマスクを配るって…」と激しく怒り、「これ、エイプリルフールのつもりか。もしかして全閣僚が集まって考えついたウソか?」と厳しく言い放った。
鳩山由紀夫元首相は2日にツイッターを更新し、「昨日はエイプリルフール。でも直前に志村けんさんが亡くなるショックで今年はそれどころではないと思っていた矢先に、安倍首相が布マスクを全世帯に2枚配布しますと決めたとのこと」とし、マスク配布はエイプリルフールのジョークと受け止め「なかなかやるなぁと思っていたら、本当になさるようだ。今どきなぜ世帯に2枚? 早急にやって欲しいのは減税なのに」と皮肉った。
「安倍政権の政策については常に対立する意見を発している鳩山元首相と百田氏が同意見で、“エイプリルフール”と共通のワードで批判しているのには笑ってしまいますね。なお、高須クリニックの高須克弥院長は『布製マスクは洗えば何度も使えます。何百枚もの使い捨てマスクより環境に優しく有用です。器用な日本人なら修理もコピーも簡単に出来ます。医療用のマスクはもともと布製でした。僕は布製のマスクが好きです』と、肯定しています」(IT系ライター)
ネットでは「布マスク2枚って自分で作れるよ」「敵対している鳩山さんと百田さんが同じ意見なんて…安倍政権終わりだな(笑)」「1人暮らしでも大家族でも2枚って、世帯の意味知らないのかな?」「安倍がつけている布マスク、小さくて変」「マスク配布にかかる税金を現金でくれ」などといった反応が巻き起こり、アベノミクスに引っ掛けた「#アベノマスク」というキーワードはトレンド入りしている。
マスクは再来週から、まずは感染者の多い東京都などから配布されるようだが、批判の声は拡大するばかりだ。
(石見剣)