トランプ政権「相互関税」発動が実は「日本に追い風を呼ぶ」可能性

 4月5日、いよいよトランプ政権が全ての国に課す最低10%の関税が発動する。さらに、9日午前0時からは国別に相互関税が課されることになり、日本からの輸入品に対しては周知のように24%。中国で34%、続く台湾が32%、韓国が25%。東南アジアではタイの36%をはじめ、ベトナム46%、カンボジアに至ってはなんと49%という大きな相互関税が課されることになり、その理由をトランプ政権は「中国企業が関税を回避するために、カンボジアとベトナムなど、これらの国からアメリカに輸出をしている」と指摘。今後、中国による報復関税の行方が注目されている。

 さて日本の場合、この24%の追加関税で名目及び実質GDPは、1年など比較的短期間で0.59%低下するとの試算が発表されているが、加えてトランプ政権は、すべての自動車輸入に25%の関税を課すことも発表している。この自動車関税に相互関税が上乗せされた場合、GDPは0.76%、約0.8%も押し下げられる計算になることから、日本経済が受ける打撃は相当大きく、それが景気後退の引き金になる可能性が懸念されている。

 しかし、一方でこの関税政策が日本の輸出に好影響を与えるのではないかとの見方もあるのだ。経済ジャーナリストが説明する。

「実は関税発動前に出荷を急いだ『駆け込み需要』で、2025年2月、日本の輸出は前年同月比11.4%増加し、5カ月連続の増加となっているんです。特に米国向けの輸出は顕著に伸び10.5%増加。中国向けも輸出はそれ以上増加し、14.1%に至っています。結果、2月の貿易収支は5845億円の黒字で日本経済にとって、完全に追い風という形になっているんです」

 さらに、トランプ政権による規制緩和や対米投資の促進により、24年、日本企業による対米M&Aは前年の10倍以上となる過去最高の820億ドルを記録。トランプ氏は米国内での大規模インフラ投資なども掲げているため、今後も日本の建設関連産業への受注増の可能性も大きい。

「日本のエネルギー自給率は11%と1割程度で、約9割を海外からのエネルギーに依存している状況です。米国は世界有数の天然ガス生産国。そんな米国からのLNG(液化天然ガス)輸出拡大すれば、当然、日本のエネルギーコストも下がるはず。むろん、米国の輸出拡大により、国際エネルギー価格が変動する可能性はあるものの、エネルギー依存度が高い日本にとっては、米国から安価なLNGが入ってくれば安定的なコスト削減が期待できるというわけなんです」(同)

 また、中国や韓国がアメリカに課している関税に比べ、日本のそれは、そこまで高くないため、米企業が中国や韓国からの輸入品に高い関税を払うぐらいなら、いっそ日本から輸入した方が得と考える可能性は極めて高い。

「そうなれば、最終的には需要が韓国や中国から日本製にシフトすることも十分考えられるというわけなんです」(同)

 つまり、これまで米企業が中国や韓国から輸入していたものを、日本から輸入する方向にシフトする可能性も否定できないということだ。

 ジェトロの試算によれば、27年のGDPへの影響は、アメリカはマイナス2.5%で、中国もマイナス0.9%。ところが日本はプラス0.2%となっており、日本のGDP成長率は年間1%ほど。つまり皮肉なことだが、ことによればトランプ氏による関税の引き上げが、日本経済にプラスに影響するかもしれないのである。

(灯倫太郎)

ライフ