「プーチンの傀儡」から「習近平の代理人」へ…ルカシェンコ大統領「コバンザメ外交」の行方

 ここ数日、中東首脳との間で積極的外交を続けているロシアのプーチン大統領。6日には、UAE(アラブ首長国連邦)を訪れ、ムハンマド大統領と会談。その後サウジアラビアも訪問。国際刑事裁判所から逮捕状が出ている同氏が、旧ソ連圏を出るのは10月の中国訪問以来となるが、続く7日にはモスクワでイランのライシ大統領と会談し、中東情勢、特にパレスチナ問題を話し合ったとされる。

 一方、「ロシアの属国」「プーチンの傀儡」と揶揄されるベラルーシのルカシェンコ大統領は4日、中国を訪れ、北京で中国の習近平主席と会談している。

「ルカシェンコが習近平と会談するのは3月に続いて2度目。今回の訪中は、経済や貿易などの分野を通じ両国関係強化を改めて確認するためとされていますが、新華社通信によれば、習主席はさらに具体的な産業協力を深めたいとして、中国・ベラルーシ工業団地のようなプロジェクトを実施し、両国の経済・貿易・人の交流を促進していきたいと語ったとか。ベラルーシはロシアと同盟関係にあることから、西側から輸出規制や資産凍結などの制裁が科されていますからね。そんな状況の中、習氏の提案は渡りに船。縋り付くのはもはやロシアのほかに中国しかなく、今回も経済的連携強化とは名ばかりで、大国に身をゆだねる『コバンザメ外交』と見られています」(全国紙国際部記者)

 一方、習近平氏としても、ルカシェンコ大統領をクッションとして利用し、裏ではロシアへの武器供与を画策しながら、一方ではウクライナとの紛争解決の糸口をつかめれば、西側がイニシアチブをとる世界情勢を塗り替えられるとの野望に燃えていると言われる。

「ウクライナへの侵略が始まり、ロシアに対し西側が制裁を続ける中、中国は経済的にロシアと密接な関係を続けてきました。ただし、軍事的支援については欧米諸国の手前、慎重にならざるを得なかった。ところが、そんな中で中東の問題が勃発すると、なんとプーチンが積極的仲介に動き始めた。“世界を分断しているのは西側だ”というアピールですが、同じ立場の習近平としては、ロシアとウクライナを停戦交渉に持ち込み、その仲介役を中国が担ったとして世界にアピールしたいはず。そのためにもプーチンに直接モノが言えるルカシェンコは、自らの“代理人”として習主席にとって手なずけておくべき対象なのでしょう」(同)

 習近平とプーチン、両大国首脳の間を上手く立ち回るルカシェンコ氏の、生き残りをかけたコバンザメ外交の行方はいかに。

(灯倫太郎)

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