「プーチンと話した」マスク氏、ツイッター改革とロシア寄り姿勢に潜む懸念とは

 とうとうイーロン・マスク氏がツイッター社のCEOに就くやいなや、従業員の半数削減やら6秒動画アプリ「Vine」の復活、サブスク値上げ、認証バッジの導入…と、矢継ぎ早に同社の刷新策が打ち出されている。現在、無償で発行されている本人証明である認証バッジを有料化(月8ドル)したり、サブスク型サービスのツイッター・ブルー(日本ではまだ未展開)も現行の4.99ドルから値上げするというのだから、ユーザーの負担は安くはない。さてどれだけツイッター離れが進み、あるいは刷新により好感を得られるのか、まずは見ものだ。

 と、相変わらずの暴れん坊ぶりのマスク氏なのだが、一方でウクライナの戦争でも、その立ち位置に注目が集まっている。特に軍事や外交関係者らが注視しているのだという。

「10月27日にロシアの外務省高官が国連の会合で宇宙戦争に言及しました。武力紛争でアメリカとその同盟国が商用も含めた民間の通信インフラを利用しているのであれば、そこで用いられている民間の衛星も報復攻撃の対象となりうるとしたのです。『民間の衛星』といわれれば、具体的な社名には言及はしていないものの、マスクのスペースX社を誰もが想起します。マスクはウクライナ戦争の初期からスペースXの衛星通信システムのスペースリンクをウクライナに提供していますから」(全国紙記者)

 多少話は変わるが、これには前段がある。NASAは10月24日に国際宇宙ステーションISSを宇宙ゴミとの衝突から避けるための噴射を行ったと発表したのだが、この宇宙ゴミこそが、昨年ロシアが行った宇宙戦争の兵器実験により発生したものなのだ。この時にもアメリカは「無謀かつ危険な行為」とロシアを非難していたのだが、回り回ってウクライナ戦争でのスペースリンク使用問題にとリンクした形になった。そして最近のマスク氏の言動がさらにこれに繋がる。

「アメリカの有名な政治学者のイアン・ブレマーが10月10日付のニュースレターで、マスクが最近プーチン大統領と会話した可能性について示唆しました。確かにこの頃のマスクは、ウクライナが領土を放棄するような形での和平案をツイッター上で提起したり、ウクライナへのスペースリンクのレンタル料は既に8000万ドルを超えるとして提供を見直すことをほのめかしたりと、ロシア寄りの発言が目立っていました。つまりマスクがプーチンから吹き込まれているというわけです。これに対しマスクはツイッター上で、『1年半前に1度だけ話した』『話は宇宙だった』と最近プーチンと戦争について話したことは否定しましたが、マスクがロシアの情報操作で操られているという懸念は払しょくされず、さらにはツイッターを所有したことで一層関係筋からの不安は高まっているのです」(同)

 先のようなツイッターの変化はユーザーとしては見ものだが、もしおかしな政治色が強まるようであれば、これはかなり危険なものになるかもしれない。

(猫間滋)

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