中国人富裕層が「民泊家賃引き上げ」「タワマン爆買い」、次の狙いは「高齢者施設」か

 日本の不動産をめぐる現状が、中国人富裕層によって引っ掻き回されている。

 東京都板橋区の賃貸マンションで、オーナーが中国系の合同会社に代わったとたん、家賃が2倍以上に爆上げされ、4割の住民が転居する事態となったことが連日報じられた。だが、実はこんな事例は氷山の一角で、首都圏のアパートやマンションでは今、「値上げ通知」の事例が続出しているというのだ。首都圏のマンション問題に詳しいジャーナリストが語る。

「その背景にあるのが、中国人オーナーによる民泊マンション化計画です。外国人が日本で事業経営や管理に従事する場合、在留資格として『経営・管理ビザ』の取得が必須ですが、条件としては事業所が日本にあり、資本金500万円以上といったことがあげられます。ただ、この金額は韓国は約3100万円以上、米国の1500万円以上に比べ格段に安い。しかも、『経営・管理ビザ』さえ取得すれば、3カ月~5年は在留が許可され、配偶者や子どもの同行も可能。おまけに日本で社会保険などに加入することができる。そんなことから、昨今は子どもの教育や日本の社会保障利用を目的とした法人の設立も急増。そして彼らの多くが設立しているのが、不動産関連会社なんです」

 板橋区のマンションの場合は、長年の所有者だった地元の信用金庫が昨年11月に大手不動産会社に売却。この会社が年明けに中国人がオーナーを務める合弁会社に転売。報道によれば、このマンションの土地と建物の価格は3億円程度で、合弁会社はそこに7~8億円の現金を積んで売却させたと情報もあるが、実は同様の事例が大阪でも起こっている。

「大阪市の4月末時点での『特区民泊』の数は、おおよそ6200件。民泊数はコロナ禍以降、急増していますが、なんとその4割にあたる2600件が、いわゆる『中国系オーナー』。今、大阪は万博の影響で民泊需要が高く、『特区民泊』の場合、営業日数に制限がないため、長く泊まってもらえればそれだけ利益も出る。そのため大阪・ミナミの繁華街近くでも、突然家賃が2倍~3倍になったというマンションがあり、それでも住民が出ていかない場合は夜中の工事で騒音をたてるなど、『昭和の地上げ屋』を地でいく行為が横行している、といった話まであります」(同)

 民泊をめぐっては、国会で石破総理も、「民泊経営を口実に、経営管理の在留資格を取得し、我が国に移住する者が増えているという指摘がある」と発言。社会問題になっているが、中国人オーナーによる不動産トラブルは、なにも民泊にかぎったことだけではない。

 円安の影響で日本の不動産価格が下がり、海外の投資家が購入するケースが急増する中、東京湾岸エリアのタワマンなどは、その3割は外国人の所有だといわれ、中でも目立つのが中国人投資家による爆買いだ。

「周知のように今、中国の不動産市況は悪化の一途をたどるばかりで、いままで中国の不動産に投資していた富裕層たちが、こぞって日本の良好な不動産を買い漁り、結果、それがタワマンの家賃高騰にも繋がっています」(同)

 現在、中国では「経営・管理ビザ」さえ取得すれば、あとは毎年50万円程度の報酬で代理運営を手掛ける会社も急増。中国人富裕層の中には「次は高級老人ホーム」とばかりに狙いを定め、高齢者施設の買収に動き出している人々もいると言われる。

 もし、高齢者施設で民泊と同様のことが起こったら、高齢化社会真っ只中の日本が被る被害が甚大になることは必至。日本政府にはくれずれも「軒下貸したら母屋を取られた」などということがないよう、厳しい目での監視と厳正な対処を望みたいものだ。

(灯倫太郎)

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