5月29日、安倍晋三元首相の妻・昭恵さんによるモスクワ電撃訪問に度肝を抜かれた日本国民も多いのではないだろうか。
ロシア大統領府が公開した当日の映像には、クレムリンでプーチン大統領から大きな花束を手渡され昭恵さんが涙ぐむシーンなどもあった。これにSNS上では《世界平和の為には昭恵氏のような存在が重要》《石破さんよりもよほど重要視されているみたい》と評価の声があがる一方、やはり《ロシアのプロパガンダに利用されているのでは》《間違った情報を海外に発信しないよう、言動は慎重にすべき》といった疑問や批判も噴出する騒ぎになった。
そんな声を受け昭恵さんは30日、自身のXを更新。《様々なご意見があると思いますが、私は主人が27回の首脳会談を通してプーチン大統領と築いてきた信頼関係を無駄にしたくない…隣国であるロシアとの文化交流は是非続けていただきたいと思います。平和を祈ります》と綴っていた。
そうした中での6月4日、岩屋毅外相が衆院外務委員会で野党からの質問に対し、初めてこの件に言及。「親交のあった元首相夫人とプーチン大統領が、旧交を温められたことは良いことではなかったか」と理解を示したものの、今回の訪ロや面会の調整について外務省は一切関与していない、と正式に否定した。政治部記者が説明する。
「今回の電撃訪問がどのような経緯で実現したかは明らかになっていませんが、今回モスクワに同行したのは昨年12月、昭恵さんがトランプ夫妻の邸宅『マール・ア・ラーゴ』を訪れた際にも同行している薗浦健太郎元衆院議員なんです。薗浦氏は麻生太郎元首相の側近で、昭恵さんとトランプ氏との面会の際も、同氏がトランプ氏に近い人物を通じて調整し、実現にこぎつけたと伝えられています。つまり、今回の訪露にも同氏が同行しているとなると、クレムリンとも太いパイプを持っていたことになり、そう考えると麻生氏が何らかの形で関与している可能性もある。さまざまな憶測が広がっているようです」
薗浦氏は元読売新聞記者で、政治部記者時代は首相官邸や厚生労働省を担当。その後03年に衆議院議員選挙に出馬するも落選。しかし、当時総務大臣だった麻生氏の政策担当秘書を務め、05年の衆議院選挙で初当選。その後、外務大臣政務官を経て第3次安倍第2次改造内閣では外務副大臣に任命され、第3次改造内閣で内閣総理大臣補佐官に起用された。
「ところが22年12月、政治資金収支報告書への収入の不記載問題で、虚偽説明をしたことなどの責任を取り議員辞職願を提出。同日、自民党に離党届したものの、その翌日には政治資金規正法違反の虚偽記載などの罪で略式起訴され、裁判所から罰金100万円、公民権停止3年の略式命令が下されることになったんです」(同)
昭恵夫人との関係については明らかにされていないものの、トランプ氏との会談に続き、プーチン氏との会談でも同行したとなれば、夫人が同氏に全面的な信頼をおいていることは間違いないだろう。
クレムリンの発表などによると、昭恵さんは会談で、「ロシアは大切な隣国であり、文化的な交流はずっと続けていただきたい」と要望を伝え、一方、プーチン氏は、現在は当時と状況が異なることから、日露平和条約のことには触れなかったものの、「ご主人が日露関係の発展に大きく貢献したことを高く評価します」と伝えたとしている。
「家庭内野党」を自任し、故・晋三氏にも正面から意見するなど、自由奔放な言動で知られてきた昭恵さんだが、改めてそんな夫人の言動に注目が集まっている。
(灯倫太郎)