自民党による「巨額裏金疑惑」の全容解明が待たれる中、浮上したのが、安倍晋三元総理の妻・安倍昭恵氏が夫の死の直後に「非課税」で受け取ったとされる1億8000万円にも及ぶ政治資金だった。テレビ番組で追及する辻元清美参院議員の鋭い指摘に、視聴者はア然とするばかりだったのである。(以下は12月7日配信記事を再録)
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自民党の最大派閥である安倍派の政治パーティーをめぐって、過去5年間で1億円以上の金が裏金になっていた疑惑が浮上している。巷では「令和のリクルート事件」になるとの見方もあり、改めて政治と金の問題に注目が集まっている。
そんな中、12月4日放送の「報道1930」(BS-TBS)はこの問題を徹底追及。スタジオに自民党の石破茂元幹事長、立憲民主党の辻元清美参院議員が出演して議論を繰り広げた。番組では、世襲議員がいかに選挙で有利に戦えるかを解説し、その後、取り上げたのが故・安倍晋三元総理の元資金管理団体「晋和会」。安倍元総理の死後、5つの政治団体からこの晋和会に1億8700万円もの金が寄付され、昭恵氏が実質的に引き継ぐ形となった。
番組メインキャスターの松原耕二氏は「普通の人だったら相続税がっぽり取られるのに政治は特別なんだろうか」と問題提起。非課税で親族が政治団体を継承できるのが、世襲議員が減らない理由だと指摘した。これに“非世襲”である辻元氏は、自身の政治家としてのスタートを「お金一文無しだったわけです。格差です」と振り返り、こう続けた。
「安倍昭恵さんのケースですけど、これ、安倍さんが亡くなった日に安倍さんの政治団体の代表を昭恵さんに切り替えてるんですよ。亡くなった日に切り替えてるんです。意図的というか、確信犯でやってるわけですね」
これにネット上では《相続税チャラは不公平すぎる》《亡くなった日に切り替えたのか》《昭恵さん立候補してないのに政治家なのか》と驚きの声があがっていた。
「安倍派の政治資金パーティーをめぐる疑惑ですから、安倍昭恵さんが無税で引き継いだ晋和会に飛び火するのは当然の流れ。番組では、辻元さんが今国会でお金を親族に継承できなくする法案を提出したと語り、石破さんに『賛成してくれるでしょう』と“圧”をかけていたのが印象的でした。辻元さんは『なんで政治家だけ無税で引き継げるのか』と疑問を投げかけ、石破さんは『政治活動に使うから』と答えていましたが、昭恵さんは現在、山口4区の補選で当選した後継議員の後援会長にすぎません。果たしてそれで政治活動を続けていると言えるのか。今年度の収支報告書に厳しい審査の目が向けられるかもしれません」(政治ジャーナリスト)
相続ではなく「継承」して非課税になるなら、政治家ほどおいしい家業はないだろう。