格安「PB」商品に庶民は歓喜も請け負う製造メーカーのホンネは…

 4月に価格が値上げされた飲食料品は、23年10月以来となる4000品目超え。各家庭のエンゲル係数はさらに上昇し、厳しい家計のやりくりを強いられている人も多いだろう。

 だが、そんな世の中の流れに逆行しているのがイオン。4月からプライベートブランド(PB)「トップバリュ」の75品目を値下げ。さらに2日からは新商品として「五目ごはんと鶏肉の黒酢あん」などの冷凍ワンプレート弁当3種類の販売を開始。298円(税抜)という破格の安さになっている。

「イオンは21年にPB商品の“価格凍結宣言”を行っています。当初は同年末までの予定でしたが、期間を延長。イオンや系列のマックスバリュなどを利用する人の多くはPB商品目当て。高い集客効果を生み、新商品にも力を入れています」(経済誌記者)

 しかも、価格据え置きどころか23年9月の31品目を皮切りに、12月に29品目、24年3月には28品目、7月には32品目、11月には36品目と定期的なPB商品の値下げを実施。対象品目には、飲食料品だけでなく日用品も含まれている。

「その一方、リブランディングという名目で事実上の値上げに踏み切った商品が少なくないのも事実。とはいえ、あらゆる原材料が高騰している中、これだけ数多くの商品を値下げしているのは評価に値します」(同)

 なお、同社に限らずPB商品の場合、各メーカーが販売する類似商品よりも価格が安く設定されている。その理由は、販売するスーパーなどの小売店が商品の企画・開発を担っているから。製造こそメーカーに委託しているが、これも大量生産することでコストを抑えられるというわけだ。

「ただし、このご時世の値下げは、たった1円であろうとも簡単なことではありません。製造を請け負う各メーカーに大きな負担を強いることになっており、とある小売のPB商品を受ける製造関係者からは『正直かなりキツい』といった悲鳴も聞かれます」(同)

 消費者にとって安いのはありがたいが、値下げを「企業努力の賜物」という一言で美化すべきではないのかもしれない。

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