「イオン」PB売上好調で過去最高益を記録も「下請け企業」を懸念する声

 流通大手のイオンが7月6日、2023年2月期第1四半期(22年3月〜5月)の決算を発表し、営業利益が過去最高を更新したことが明らかになった。6月末まで価格を据え置いたプライベートブランド(PB)「トップバリュ」が売上を押し上げ、総合スーパー事業が9年ぶりに黒字になるなどの好調ぶりが要因で、これにネット上ではある指摘が広がっている。
 
「世界的な物価高が続き、各メーカーが続々と商品の値上げを発表する中、同社は21年9月に年内までトップバリュの価格を凍結すると宣言しました。その後も期間は延長されて今年6月まで約5000品目の価格が据え置かれ、7月以降も値上げしたのはマヨネーズ、ノンフライ麺、ティッシュペーパーの3品目だけだったのです。イオンによれば、これが『お客さまから強い支持を頂いた』といい、『食品主要カテゴリー計でも売上高が約3割増になった』と明かしています」(流通誌記者)

 これにより、営業利益は前年同期比12%増の438億円を記録して過去最高を更新したが、ネット上では《他社が次々値上げしていく中でPB価格を据え置きにしたらそりゃあ売れる。でも、そのPBって誰が製造しているのって話》《トップバリュの価格据え置きにした企業努力を褒める声もあるけど、PBといっても商品をイオンが作っているわけではないからね》《最高益を更新したなら下請け企業にも還元してあげてほしい》などトップバリュを製造するメーカーを思いやる声も多く見られた。

「トップバリュはイオン系列のスーパーやコンビニの他に資本関係を持つ地方のスーパーなどでも販売されていますから、受託するメーカーにとってはかなりの大口案件となっています。そのため、原材料費が高騰する中での価格据え置きはかなり厳しいと思いますが、従わざるを得ない面もあるのです。メーカーの中には自社ブランドの商品とトップバリュの両方を製造するところもあり、自社のものよりトップバリュの商品の方が安くなるという現象も起きているようで、うまみの薄いトップバリュにシェアを奪われかねない状況になっているのです」(流通ジャーナリスト)

 7月以降もトップバリュの大部分は価格据え置きが続く。製造メーカーにとって大きな負担とならなければいいが…。

(小林洋三)

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