イオン「ウエルシア」と「ツルハ」統合で終了するドラッグストア「群雄割拠時代」

 すでに以前から報道されていたが、2月28に流通大手のイオンが、子会社のドラッグストア最大手のウエルシアHDと、やはり大手のツルハHDと正式な経営統合について協議を開始すると発表した。

 ドラッグストア業界を売上高で序列化すれば、トップがウエルシアの約1兆1400億円で、2位がツルハの9700億円。つまり27年をメドに株式交換でツルハがウエルシアを完全子会社化するということだが、実現すればドラッグストア業界に初の2兆円企業という圧倒的な“巨人”が誕生することになる。

「この両社に続く企業を見ると、以下、マツキヨココカラの9500億円、コスモス薬品(8200億円)の1兆円弱の大手が続き、5位からサンドラッグ(6900億円)、スギ薬局(6700億円)が準大手、7位からは売上高をグッと下げてクリエイトSD(3800億円)、クスリのアオキ(3700億円)と続きます。ドラッグストア業界はこの5年ほどで統合の動きがあって激変。今回の統合で、規模の経済で負けてはならぬと大手間で統合の動きが活発化する可能性があり、特に準大手以下は生き残りをかけて統合や大手の傘下に入るという動きが出てくるのは必至でしょう」(経済ジャーナリスト)

 マツキヨココカラが統合したのは21年のこと。統合話が持ち上がった19年には、前年の売上高が5位のマツキヨと7位のココカラファインが統合することで、当時7800億円でトップだったツルハを一気に追い抜き「1兆円企業誕生」と話題になったものだ。それが今度は倍の2兆円というのだから、隔世の感すらある。

「特に準大手以下の企業では、会社発祥の本拠地とその周辺エリアで強みを持つといったパターンが多く、そのエリアに上位企業が本格的な殴り込みをかければ、どうしても傘下入りを拒否することはできないでしょう」(同)

 ドラッグストア業界で群雄割拠の時代が終わり、とうとう本格的な「天下統一」の時代に入ろうといったところだろうか。

ビジネス