6月は株主総会のシーズンでもあり、毎日のように経済ニュースを賑わせている。その中でも、いわゆる「モノ言う株主」と言われる「アクティビスト」の動きが盛んだ。アメリカの調査会社によると、アクティビストから会社に要求のあった企業は、日本はアメリカに次いで多く、アクティビスト天国とも言われている。そして、このアクティビストの存在が、業界構造を根底から変革してしまうことすらあるようだ。
「北海道を本拠地として調剤薬局やドラッグストアチェーンを展開する『アインHD』に対し、モノ言う株主である香港の投資ファンド『オアシス・マネジメント』が、取締役解任の株主提案を行っていたことが6月4日に明らかになりました。オアシスは同社の株保有比率を4月に15%弱まで引き上げ、『重要提案を行うことがある』としていましたが、実際に行動に移したことになります。アインHDはこの提案を受領すると発表しています」(経済ジャーナリスト)
だが、オアシスの今回の行動は、単なる調剤薬局業界内の話では収まらないという。ドラッグストア、さらには巨大流通企業も巻き込んだ一大再編につながるかもしれず、関係者は固唾を飲んで見守っているのだ。
「2月に、ドラッグストア最大手で23年の売上が1兆1000億円の『ウェルシア』と、売上9000億円で業界2位の『ツルハドラッグ』が2027年12月までに経営統合する予定ですが、その陰の主役がオアシスだったのです。オアシスが保有していた約13%のツルハHD株を流通大手『イオン』に売却した結果、ウェルシアを子会社に持つイオンは、2兆円企業というガリバーを手中に収めることになったのです」(前出・ジャーナリスト)
そんな状況の中で行われてきたオアシスによるアインへの「モノ言い」。実は、アインは「セブン&アイHD」と、6月1日に「セブンヘルスケ
巨大なライバル企業グループとしてしのぎを削るイオンとセブン。今回のオアシスの一連の動きによって、ドラッグストアと流通業界にさらなる大激変が生じる可能性が高まってきたのである。
(猫間滋)