【中国】園児が「絵の具着色パン」で給食中毒は“さもありなん” 過去には「古タイヤ入りタピオカミルクティー」騒動も

 福島原発周辺の海水をさんざん汚染水だのなんだのと批判していたくせに…。このニュースを目にして思わず口をあんぐり、さらに、あの衝撃的な「段ボール肉まん」「古タイヤ入りタピオカミルクティー」騒動を思い出した人も多いのではないだろうか。

 中国国営中央テレビ(CCTV)が7月8日、中国北西部・甘粛省天水市にある幼稚園で200人余り園児の血液中から「異常な」レベルの鉛が検出、調査の結果、園が提供していた食べ物のなかに絵具用の顔料が混じっていたとして、園長を含む同園幹部ら8人が逮捕されたと報じた。

 同園では、この顔料をオンラインで購入、「食用不可」と明記されているにもかかわらず、食品の着色料として使用していたというのである。検査を受けた園児251人中、血中の鉛濃度が通常レベルだったのは、わずか18人のみ。あとの223人はいずれも血中の鉛濃度が高く、うち2人は中国の食品安全基準である1キログラム当たり0.5ミリグラム未満に対し、同1000ミリグラム超という異常な量の鉛を検出されたと伝えられている。中国ウォッチャーの話。

「実は天水市の保健所には、数カ月前から同園に通う子供たちに下痢や抜け毛、鼻血などの症状が出ているとの訴えがあり、今月初旬、市が調査チームを立ち上げた矢先だったようです。調査の結果、朝食用の蒸しケーキなどの食品から、基準の2000倍を超える高濃度の鉛が検出され、塗料が入っていたバケツも当局により押収され、分析に回されているという。ただ、中国の地方都市では、いまだ食品安全問題が絶えませんからね。園に対してはむろんのこと、訴えを知りながら対応してこなかった天水市の保健局や甘粛省にも批判が集まることは間違いないでしょうね」

 地元メディアは、小児科医の見解を紹介。それによれば、3カ月以上、高濃度の鉛を摂り続けた場合、慢性的な鉛中毒になる可能性が高く、特に発達過程である幼児の場合、脳の発達や行動、IQに影響を及ぼし、認知力や注意力低下等、成長遅延の症状が出る場合もあるという。

「さらに、SNS上では天水市当局職員が事件の大きくなることを恐れ、被害児童家族宅を回り、天水以外で治療を受けた場合は医療費の払い戻しは受けられないと、あたかも『これ以上他へ行ってしゃべらないように』と圧力をかけるよう口止めしているとの投稿もあるようです。事実なら隠ぺい工作と受け取られても仕方がないでしょう」(同)

 実は天水市では、2006年にも化学工場からの汚染物質により200人以上の住民が集団鉛中毒になった事件が大きく報じられている。この時も天水市が指定した医療機関が検査した結果、当初、汚染源とされた化学工場から流出された鉛の含有量は「正常な数値」つまり、シロだと断定。しかし騒ぎが収まらず、ようやく甘粛省政府が重い腰を上げている。

 かつて中国では「段ボール肉まん」騒動や、山東省青島市で売られていたタピオカミルクティーの原材料が古タイヤだった、といった報道もあり、前者はテレビ局によるでっち上げだったものの、後者は、実際にタピオカの卸元社員が「工場で科学的に作った。革靴や古タイヤからできている」と証言し大騒動に発展した過去がある。今回の報道で、改めて中国の食べ物=安全性は保障できない、ということを改めて内外にアピールしてしまったようだ。

(灯倫太郎)

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