トランプ大統領がプーチン大統領と電話会談し、ウクライナ戦争の停戦に向けて動き出したことで、欧州各国からは、米露が主導する形で停戦が進められることになるとして、警戒が広がっている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、米露主導のいかなる停戦案も受け入れられない、と強く反発し、「最も重要なことはすべてをプーチン大統領の計画通りに進めさせないことだ」と強調。欧州各国も同様に懸念を表明し、フランスやドイツは、「いかなる交渉にも、ウクライナと欧州は参加しなければならない」と、トランプ大統領の独断専行を牽制している。
「トランプ大統領は、ウクライナが全ての領土を取り戻すことは現実的ではなく、NATO加盟も支持しない姿勢を鮮明にしていて、彼の頭の中には、いかにして早く戦争を終結させるかという、終戦合意の内容ではなく、結果しかないようです。また、トランプ大統領はノーベル平和賞を本気で狙っているとされ、『ガザ停戦』も含め、戦争の終結はそのための点数稼ぎだといいます」(全国紙記者)
理由はどうあれ、米国とロシアの接近は、米国と欧州の決定的亀裂となる可能性をはらんでいる。NATOの国防相会議に出席したヘグセス米国防長官は、NATO加盟国に対し、防衛費をGDP比で2%から5%に引き上げ、米国に頼るのではなく、自国の防衛に責任を持つべきだと語った。しかし、ウクライナや欧州各国は、米国のNATO関与を前提としており、こうした見解の不一致は今後さらに顕著になると見られている。
トランプ大統領とプーチン大統領の動きによっては、これまでの「欧州+米+ウクライナVSロシア」という対立軸が、「米+露VSウクライナ+欧州」という構図に変化する可能性があるのだ。
(北島豊)