「青春18きっぷのほうがいい」JR西日本の30日間乗り放題「新周遊パス」が酷評される理由

 JR西日本が2月14日より発売した周遊パス「JR西日本無限大パス」について、一部の乗り鉄から「正直、微妙…」という声が上がっている。

 このパスは、ICOCAエリアの普通列車30日間乗り放題と、関西圏駅構内などで使えるクーポンがセットになったもので、最大の特徴は、新幹線こそ使えないものの、「圏内連続30日乗り放題」という部分だろう。発表当初は鉄道マニアたちが色めき立ったのもうなずける。

 ところが、内容をよく見てみると、仕組みがかなり特殊なようで、「青春18きっぷ」のようなわかりやすいお得感が感じられない、という批判が出てきたのだ。

 まず、利用する場合は「KANSAI MaaS」アプリにICOCAを登録し、サービスの利用登録をする必要がある。ここまではそう難しいことではないが、気をつけたいのは、利用した運賃はすべていったん自分で支払い、その後、ポイントとして戻ってくる、という点。パスの価格は5万240円だが、これを超えた運賃は、利用日の翌月末にポイントで還元されるというわけだ。「ポイント還元」は、普段ポイントを使わない人にはメリットが薄く、また、ポイントバックされるまで建て替え期間が生じるのは、学生などには厳しいだろう。

 では、約5万円を払って元が取れるのかというと…。

「JR西日本では、京都から三ノ宮間、大阪から新宮や、豊岡、敦賀への往復旅行パターンを例示していますが、どれも平日に何往復もしなければ元がとれません。となると、週末旅行で元を取るのは難しく、結局は、限られた地域への頻繁な出張などにしか大きなメリットがない、という声は多いですね」(鉄道ジャーナリスト)

 30日間という利用期間は一見、お得に感じるが、実際は、5日を選んで使うことができる「青春18きっぷ」を4セット買ったほうが、地域を気にせず幅広く利用できるという意見もある。

 使い方次第とはいえ、今のところ、ファンが諸手を挙げて歓迎する新チケット、という評価は得られていないようだ。

(ケン高田)

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