トランプ政権のイラン核施設攻撃は「第三次世界大戦」に発展するのか

 6月22日、トランプ米政権はイランの核施設フォルドー、ナタンツ、イスファハンに対し、B-2ステルス爆撃機とトマホークミサイルを用いた精密攻撃を実施した。この大胆な軍事行動は中東の緊張を一気に臨界点へと押し上げている。

 トランプ大統領は演説で「核の脅威を根絶した」と宣言し、米国の軍事力を誇示。一方で、この攻撃は国際社会に深刻な亀裂を生み、壊滅的な連鎖反応を引き起こす危険性をはらんでいる。

 イラン政府は被害は限定的だと主張し、核開発プログラムの継続を改めて明言。これに対し、同盟国のロシアと中国は「国際法違反」と米国を強く非難し、対抗措置の可能性を示唆している。ロシアはイランへの軍事支援を検討しているとも伝えられており、大国間の緊張が一段と高まっている。

 このまま対立がエスカレートすれば、イスラエルやNATOを巻き込んだ全面戦争へと発展する恐れがある。すでに中東地域の不安定な均衡は崩れつつあり、ホルムズ海峡の封鎖、サイバー攻撃、テロのリスクが現実味を帯びている。

 米国内では世論が分裂。共和党の強硬派は「イランの脅威を封じ込めた」としてトランプ大統領を称賛する一方、民主党および一部の共和党議員は、議会承認を得ずに行った攻撃を違憲と非難。反戦団体は全米で抗議デモを展開し、「戦争は経済と人命を破壊する」と訴えている。

 国際原子力機関(IAEA)は放射能汚染の懸念を否定したが、核施設の破壊による環境や地域安全保障への長期的影響は依然として不透明である。

 国際関係の専門家は「中東の局地戦が大国間の軍事衝突へと拡大すれば、第三次世界大戦は避けられない」と警鐘を鳴らす。

 歴史は、軍事行動がしばしば意図せぬ結果を招いてきたことを教えている。トランプ政権の今回の賭けは、果たして力による抑止となるのか、それとも破滅への引き金となるのか。国際社会は今、冷静かつ慎重な外交によって危機を回避する最後の機会を迎えている。世界が注視する中、時計の針は刻一刻と進んでいる。

(北島豊)

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