2022年に発表した自叙伝「SPARE(スペア)」の中で自身の薬物使用を告白したことで、ビザ申請時に虚偽の申告をした可能性が浮上。一時はトランプ大統領からも「私が大統領になったら彼を守りたくない」と国外追放が示唆されていたヘンリー王子。
虚偽申請を巡っては、保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」が、バイデン前政権により王子が保護されているとして、国土安全保障省に対し王子の移民書類公開を求める訴訟を起こしていた。しかし、昨年9月には同財団が敗訴。現在は新たな訴訟の手続きを取っている。
一方、トランプ氏は大統領選前の昨年2月、ヘンリー王子に対し「もし彼がウソをついたのであれば、適切な対応を取らなければならないだろう」と発言。トランプ氏の次男エリック氏も王子夫妻の処遇について、「2人は『神聖な制度』での役割を拒否し、伝統を拒絶した恩知らず!どこの果樹園にも腐ったリンゴはある。喜んで彼らをアメリカからイギリスに送り返します」と、強制送還まで言及していた。
「ただ、その後イーロン・マスク氏も就労ビザではなく学生ビザで開業していたことが報じられ、厳密に言えばこちらも法律違反になる。そこを突かれたくないためか、エリック氏が選挙戦直前の10月、『再選したとしても“国外追放”の心配はない』と前言を翻したことが大きな話題になったものです」(国際部記者)
王子夫妻は現在、王室離脱後の2020年に2100万ドル(約31億円)で購入したカリフォルニア・モンテシートの邸宅で暮らしている。ただ、自叙伝を巡る問題で、チャールズ国王からウィンザーにあるフロッグモア・コテージからの立ち退きを要請されたことでイギリスに持ち家はなくなり、所有するのはアメリカの自宅1軒のみ。そのため昨年に秋には、ポルトガルの首都リスボンの南にあるメリデスのコスタテラ・ゴルフ・アンド・オーシャン・クラブに不動産を購入。これを別荘として利用するか、あるいは移住するのではないかと報道されたこともあった。
「ところがこのニュースが流れるや、周辺で暮らす富裕層の住民たちから『迷惑だ!』『来ないでほしい』といったブーイングの声が上がってしまった。そのため、夫妻としてはなんとしてでもカリフォルニアに留まり続けたい意向だと伝えられています」(同)
そうした背景もあるのか、1月初旬に発生したロサンゼルス近郊での山火事の際には、支援物資と食料を届けるため現地をサプライズ訪問した夫妻だったが、その際もマスコミを引き連れ被災地で関係者らと写真撮影する無神経さに非難が集中した。
そんな中、今度は保守党議員のスエラ・ブレイバーマン氏が、トランプ氏に王子のビザ記録の公開を要請していることが分かり、「王子の国外追放問題が再燃」とのニュースが波紋を広げている。1月28日付の英紙エクスプレスによれば、記録公開を求めたブレイバーマン氏は「トランプ大統領が介入し、これらの文書の公開と開示を指示する根拠は非常に強いと思う。アメリカ国民はここで何が起こったのかを知る権利があるはずだ」と指摘。トランプ氏がビザ記録要請を受諾した場合、ヘンリー王子がビザ申請時に行った申告内容が開示されることになると報じている。
ヘンリー王子はともあれ、かねてからトランプ氏と舌戦を繰り返してきたメーガン妃だが、もしかしたらトランプ氏の大統領返り咲きに、もっとも不安を抱えているのが彼女なのかもしれない。
(灯倫太郎)