空前のグミブームに水を差した「ハリボー」大麻成分検出の大騒動

 今、世界ではガムをかむ人たちが激減。日本でもその傾向は顕著で、あるシンクタンクの調査によれば、日本国内における2022年のガムの市場規模は548億円。これは2013年度の1000億円の半分程度で、さらなる落ち込みが予想されている。

「そのガムにとって替わり売り上げを伸ばしているのがグミ。市場規模がガムを超えたのは21年に入ってからで、20年に始まった新型コロナウイルス感染拡大で外出自粛となり、必然的に車の運転中や出勤時などにガムを噛む習慣が減り、さらにガムを噛んだ後、それを捨てる場所がなくなったことで敬遠する動きが広がった。一方、グミもガム同様に口臭ケアや気分転換ができることに加え、食べた後ゴミが出ない。結果、グミがガム離れを加速させる形で市場規模が拡大したと見られています」(経済部記者)

 ガム市場が13年から10年で半分程度に減少したのに対し、グミ市場はここ10年で倍以上の1000億円に迫る勢いだという。そんなグミのなかにあって、人気が高いのが「コーラ味」のグミだ。日本でも1980年、明治製菓の「コーラアップ」の発売をきっかけに各社が追随、その味が広く人気を集めるようになった。

 ところが、オランダでも人気の高い、この「コーラ味」グミを食べた多くの子供たちの間で、めまいなどの健康被害が発生。オランダの食品安全当局がグミを分析したところ、なんと中から大麻成分が検出されたとして、大規模回収騒ぎ発生。このことが5月29日、地元メディア各紙で報じられた。

「大麻成分が見つかったのは、ドイツ西部に本社を置くハリボー社の『ハッピーコーラ味』で、独DPA通信によれば、ハリボーは世界約120カ国で販売されるグミで、熊の形のフルーツ味が定番。ハッピーコーラ味はいずれも同じロット番号で、少なくとも3袋から検出されており、ハリボーは問題の商品に対して全量リコール決定を下したそうです」(同)

 ハリボーのマーケティング副社長はすべてのハリボー商品ではなく、あくまでも「オランダ東部地域で一つの商品と関連して発生した事件」として、事実関係を把握するために「食品当局及び捜査当局に全面協力している」とコメントしている。しかし、オランダ食品・消費者保護安全庁(NVWA)の報道官は、「経緯を調査中だが、現在も商品が流通しているので食べないように!」と警告。突如降ってわいたような大麻混入に、オランダじゅうが上へ下への大騒ぎになっているのだ。

「ハリボーは1920年にドイツで設立された創業100年以上という老舗グローバルゼリーブランド。本社のあるドイツでは200種類以上の商品を販売し、世界120カ国でグミを販売、日本でも高い人気を誇っていますからね。見つかった成分が大麻という特殊性から製造過程で混入したことは考えづらく、会社を狙ったものなのか、世間を騒がせることが目的の愉快犯かどうかわからないものの、今回の混入騒ぎによる同社のイメージダウンは計り知れない。ともかく一日も早い真相の解明が急務だということです」(同)

 ガムにかわって世界的大人気のグミ。その大ブームに水を差すこの大騒動の顛末は…。

(灯倫太郎)

※写真はイメージ

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