交流戦前までに13本塁打(リーグ1位)、37打点(同)と、打撃2冠をキープしている阪神・佐藤輝明選手。3冠王も視野に入る好成績の背景には、MLBドジャース・大谷翔平選手の打撃フォームと、阪神OBであり近畿大学の先輩・糸井嘉男氏のアドバイスがあった。
6月2日放送の「newsランナー」(カンテレ)では、佐藤と糸井氏の対談が実現。糸井氏から「現在の打撃をどう感じているか」と聞かれた佐藤は、「自分の打撃に対する理解度がもう一段階上がったと思います」と自信をのぞかせた。
特に今年は大谷の動きからヒントを得ていると明かし、「もちろん参考にしていますし、うまくアジャストできていると思います」と語り、バットの出し方について問われると、「出し方というか。下半身の使い方は参考にしています。足を上げないのもそうですし、どこを動かしているのかと見たりしていますね。ずっとマネしようというか、今までも参考にしてたんですけど、ちょっと分からなくて。こうやって動いてるんちゃうかな?と最近分かり始めました」と説明した。
糸井氏は春季キャンプに臨時コーチとして参加し、大谷も実践している「クリケットバット練習」を提案。佐藤は現在も遠征先にクリケットバットを持参し、感覚を確認する際に振るなど実践を継続しているという。
佐藤の開幕直後は不振続きだった。開幕4試合でヒットはわずか1本、打率0割4分7厘、10三振という結果。しかし、4月3日の試合前、糸井氏からのアドバイスが転機となった。
「バッティングに“間”がなかった。“真っすぐ、真っすぐ”と意識しすぎて、逆にファウルになってしまう。変化球のように“真っすぐ”を待つことで、スイングが柔らかくなり、力を利用して飛ぶようになった」(糸井氏)
佐藤も「間というか、ゆっくりタイミングを取る感覚ですね。あのとき三振ばかりでしたが、ちょっと良くなりました」と振り返った。
守備でも今季の佐藤は進化を見せている。三塁守備では失策2と安定感を見せる一方、5月下旬からは外野に回る機会も増加。強肩とセンスが光っている。
「ずっと外野というわけではないと思いますが、選択肢があるのはチームにとっても柔軟性がある。戦力としての価値もあるし、外野もやる気ですよ」と語るように、チーム事情に応じて多面的な貢献ができる選手へと成長している。
セ・リーグ首位を走る阪神タイガース。交流戦でも4番・佐藤のさらなる活躍が期待される。
(鈴木十朗)