強硬姿勢のプーチン大統領に嫌気…中央アジアで進む「脱ロシア化」

 昨年2月のウクライナへの軍事侵攻から1年半が経過したが、ロシアのプーチン大統領に撤退や停戦の意思は感じられない。むしろ、これまで以上に西側諸国に反発し、ますます怪気炎を上げているようにさえ思える。
 
 だが、親ロシア系とされる旧ソ連から独立した同盟国の中には、実は距離を置きたいと考えている国も多い。強固な協力関係にあるベラルーシのような国は少数派で、必ずしも歩調を合わせているわけではないようだ。

「特に顕著なのはカザフスタンとウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの中央アジアの5カ国。なかでもカザフスタンのトカエフ大統領は就任当初から旧体制からの脱却姿勢を強め、ロシア側からの派兵要請も拒否。さらに、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの3カ国は、昨年8月に行われた米軍との共同軍事演習に参加しています」(全国紙国際部記者)

 一方で、中国とは密接な関係を築きつつある。習近平国家主席は「中国・中央アジア運命共同体構想」を掲げており、今年5月に開催された中国・中央アジアサミットには上記5カ国の首脳が出席。中国側は鉄道・道路の相互乗り入れやエネルギー分野での協力関係の拡大、危機管理の対話メカニズムの構築をはじめ、各分野でパートナーシップを結ぶことを提案。さらに総額260億元(約5200億円)の融資・無償援助を行うことも発表されている。

「中央アジアは世界的にも地下資源が豊富な地域。中国はこの地域の国々を自分たちの影響下に置こうとしており、中央アジアの各国も温度差はありますが協調する姿勢を見せています。現在、中国は世界第2位の経済大国ですが不動産バブルが崩壊し、経済的に苦境に立たされています。これは将来を見据えた次の一手であり、ロシアは中国から支援を受けているのでプーチン大統領も強気な態度を取れません。戦争が長引けば長引くほど中央アジアの脱ロシア化が進むでしょうね」(同)

 ウクライナ戦争の長期化は、中国にとって覇権主義を進める理想的な展開になっているのかもしれない。

*画像はキルギスの首都ビシュケク

ライフ