22年2月のウクライナ侵攻を受け、ロシアから撤退した西側諸国の外食チェーン。各国政府が経済制裁に踏み切る中、これに同調した格好だが、人道危機に対する抗議のほか、原材料の調達など有事における営業継続が困難になったことが理由に挙げられている。
ちなみに撤退した主な企業は、マクドナルドやスターバックス、KFCなど日本でもお馴染みのチェーンばかり。日系チェーンでもモスクワを中心に展開中だった丸亀製麺が撤退し、各社とも“パクリチェーン”がその後も営業を続けていたことは記憶に新しいはずだ。
だが、その一方でロシアから撤退しなかった外食チェーンもある。その代表格がマクドナルドと並ぶ、世界的ハンバーガーチェーンのバーガーキングだ。
米国発のチェーンということもあり、フロリダにある本部は撤退の意向を示していたものの、ロシア国内の店舗を運営していた合弁先の現地法人が撤退を拒否。実際、「店舗閉鎖が難航」と一部メディアが報じており、結局最後まで撤退の合意には至らなかった。
「合弁協定で他の外食チェーン以上に現地法人側の権利が法的に守られていたことが影響しています。現在はサプライチェーンやプロモーションなどにおいて米国の本部は一切関与しておらず、“同じ屋号を使った別ブランド”という状態になっています」(ロシア事情に詳しい全国紙記者)
ただし、ここに来てマクドナルドが商標をロシア特許庁に申請していることが明らかになり、再進出の可能性が報じられている。
「バーガーキングの場合、現地法人と米国本部は完全に仲違いした格好とはいえ、関係修復の可能性は高い。感情的なものを抜きにしてビジネスとして捉えた場合、両社にとっていちばんメリットがあるからです」(同)
ロシアではこの数年で利用客が増えたとも言われているバーガーキング。ライバルチェーンが撤退した隙を突いて、現地での人気拡大につながったのは事実のようだ。