「我々の核兵器だ!」吠えるルカシェンコ、戦術核配備で「プーチンを恫喝」の策謀

「プリゴジンの乱」では決起中、同氏に何度も電話をかけ「(ロシア軍と戦うと)虫けらのように潰されるだけだ」「あなたと仲間の絶対的な安全を保証する」などと説得、軍を撤退させたことで、プーチン氏に大きな貸しを作ったベラルーシのルカシェンコ大統領。

 一方、ロシアの独立系メディアによれば、反乱が起こった24日午後2時15分ごろ、モスクワから大統領専用機が北に向かって飛び立ったとされ、北にあるバルダイには大統領公邸があることから、プーチン氏がその地下壕に隠れていたとの報道もあり、ロシア国民の間からも疑念の声が噴出している。

「プーチン氏は24日午前10時頃、緊急テレビ演説で『裏切りの道を選んだ者、武装反乱を準備した者、恐喝やテロの手段を取った者は全て罰を受け、法と国民の前で責任を負う』と述べましたが、その血の気のない引きつった表情から、この演説を見たロシア国民の間では、ワグネルの行軍を恐れたプーチン氏が早々にモスクワから脱出したという噂が駆け巡りました。続いて出てきたのが、この報道ですからね。それまでのコワモテの絶対的独裁者というプーチン氏のイメージは、地に落ちてしまった。逆にルカシェンコ氏のほうは27日、ベラルーシの国営ベルタ通信などを通じ、今回の武装蜂起収束までの内幕を詳細に明かしたことで、株はうなぎ上りです。言い方は悪いですが、さんざん『プーチンの犬』呼ばわりされてきた同氏が、今回の件で積年の屈辱を晴らしたことは間違いない。専門家の間でも、この立場逆転劇が今後の両国関係にどのような影響を与えるのか注目されています」(ロシアウォッチャー)

 その最大の理由が、先月ロシアからベラルーシに搬入された戦術核の存在だ。というのも、戦術核の使用合意文書には「運用はロシアが行う」とあるものの、ベラルーシの介入を排除する条項はない。

「つまりベラルーシ側としては、いつでも使える核兵器を“受け取った”認識で、実際ルカシェンコ大統領も『我々の兵器だ。我々が使う』と宣言しています。元々ベラルーシやウクライナは核兵器を保有し、94年のソ連崩壊後、核不拡散条約に加盟したことから、ロシアに引き上げられたという経緯があります。だから、ベラルーシは結果的にロシアから核兵器を取り戻したということになる。つまり将来的にもし、ベラルーシとロシアの関係が悪化した場合は、ロシアに対して核で恫喝することが可能ですからね。プーチン氏も、ルカシェンコ氏を今までのように手下のようには扱えなくなるでしょうね」(同)

 はたしてこの流れを、ルカシェンコ氏が企図していたかどうかは定かではないが、プーチン氏にとっては、まさに同氏の術中にハマったも同然だろう。そして核兵器だけでなく、今回の反乱でルカシェンコ氏は、強力な民間の軍隊・ワグネルまでも手中におさめることに成功した。

「極論ですが、ロシアの出方次第では、今後ベラルーシがロシアを裏切り、ウクライナと手を組む、あるいはNATOと共同戦線を張る、という可能性もゼロではなくなってきたということ。今後ますますルカシェンコ氏の言動が世界に注視されるはずです」(同)

 核兵器と強力な軍隊を同時に得たベラルーシ・ルカシェンコ大統領の策謀の行方は…。

(灯倫太郎)

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