令和の怪物・佐々木朗希(大船渡)が岩手県決勝戦で散った。
最速163キロを誇る右腕の将来を思い、連投をさせなかった指揮官の判断には賛否両論だが、ネット裏では“不可解な人物たち”が姿を見せていた。メジャーリーグのスカウトたちである。
「紳士協定で、アメリカは日本のドラフト候補生を指名できないことになっています。日本高校野球連盟(高野連)も、メジャーリーグのドラフト会議が6月に行われることを指し、『夏の甲子園、同予選にプロと契約した球児が出場するのは望ましくない』と米国側に伝えており、NPBも日本のプロ野球を経由しないで米挑戦したアマチュア選手に対し、帰国後のペナルティーを課しているのは説明するまでもないでしょう」(スポーツ紙記者)
お目当ての選手を直接指名できないのに、わざわざ視察する理由はどこにあるのか。佐々木に対しては練習試合にも顔を出し、夏の予選中も最寄り駅からクルマで1時間近くもかかる地方球場にも足を運んでいた。
「メジャースカウトの視察は、佐々木に限った話ではありません。球児たちの将来のメジャー挑戦に備え、データを集めておくためと言われています」(同前)
しかし、目的はそれだけではないようだ。
過去、メジャーリーグに挑戦した日本人投手のほとんどが肩か肘を故障している。「日本人投手は高校時代から投げすぎ。こんなにたくさん投げているから故障したんだ」という“証拠集め”のためとの指摘も聞かれている。
高額年俸、複数年の長期契約を交わした日本人投手に故障をされたら、交渉にあたったスカウトも責任を問われるケースがあるそうだ。また、彼らは日本のスカウト陣とも接触しているという。
「お目当ての球児がポスティングシステムで米球界に挑戦するときのことを想定し、『ウチは落札金はいくらくらいになる』と伝えているのではないか、と。お目当ての選手の指名に成功した日本の球団が支払う契約金、ポスティングシステムに掛けるまでの間に支払われる総年俸、それらに対し、譲渡金の目安を伝えているのではないかと勘繰られています」(球界関係者)
まさか“裏取引”ではないだろうが、ではなぜメジャースカウトが、事実上指名できない高校球児を毎回、甲子園に視察するのかも不可解だ。メジャースカウトたちは「甲子園のときからキミを見てきた」という、将来に備えての誠意だと反論するかもしれない。
高野連、NPBはメジャースカウトの甲子園視察に対し、何かしらの対策を講じる必要がありそうだ。
(スポーツライター・飯山満)