「サイレンで身体がビクッと…」近隣住民は慣れるまで大変な甲子園球場の“騒音問題”

 現在、高校野球の春の選抜大会が大詰めを迎えている甲子園。終了後には4月9日からプロ野球の阪神戦も開催される。

 実はその甲子園は、ドーム球場と違って構造的に音が周辺に漏れやすく、高校野球期間中は両校アルプススタンドからの大声援やブラスバンドの応援ソングが絶え間なく聞こえてくる。さらに阪神戦でも平均4万1064人(※23年の公式戦1試合当たりの入場者数)と観客数は12球団トップで、応援の激しさは世界一との呼び声が高い。

 そもそも甲子園の周辺は住宅地。新しい建物は防音設備がしっかりしているとはいえ、「窓を閉め切っても歓声はもちろん、阪神ファンが大熱唱する『六甲おろし』がうっすら聞こえてくる」話すのは甲子園近くのマンションに住む40代の男性会社員。

 一方、球場から100m圏内の一戸建てに家族で暮らす50代の主婦は、「住んでるうちに慣れたけど、住み始めた頃は本当にストレスだった。特に高校野球の試合開始や終了の際などに流れるサイレンは、聞こえるたびに身体がビクッとなり、本当に嫌だった」と漏らす。

「甲子園では管楽器以外の鳴り物の使用は禁止されていますが、それでも甲子園での大歓声は100デシベル前後。これは列車走行時のガード下や目の前でブルトーザーが動く場合のエンジン音に匹敵する騒音レベルです」(住宅情報誌編集者)

 おまけに球場の周囲にビルなどの高層建築物が多ければ音を遮ってもらえるが、甲子園の周囲にそこまで高い建物はほとんどない。実際、球場から1㎞以上離れた場所からも「歓声が聞こえる」との証言が得られたほどだ。

「甲子園は球場のすぐ北側を高速道路と線路が走っており、試合中はその騒音すらも上回ります。野球や阪神が好きな方、騒音に比較的寛容な方でもストレスに感じることもあるでしょう。そのため、大阪からも近く駅のすぐそばという好立地ですが、この辺の家賃相場は少し安めに設定されています」(同)

 元高校球児や虎党にとっては聖地かもしれないが、住環境としては必ずしも理想的な場所とは言えないようだ。

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