「クーリングタイム」は、夏の甲子園大会の光景を確実に変えるだろう。
第105回全国高等学校野球選手権記念大会(夏の甲子園)の全出場校49代表が決定した。今回から変更された大会ルールは、主に2点。登録選手数が18人から20人に増員された。投手の投球数制限に対応するためだ。
1人でも多くの投手をベンチ入りさせれば、投球数制限で投げられなくなる投手が出ても試合が成立すると、日本高野連は説明していたが、現場の指導者たちの捉え方はちょっと違った。
「地方大会のベンチ入りは20人。甲子園は18人でした。20人で甲子園を勝ち取ったのに、そのなかから2人のメンバーを外さなければなりません。その絞り込みが辛くて」(関東圏の私立校指導者)
しかし、これ以上に影響が大きそうなのが「クーリングタイム」の導入だ。5回終了時に、約10分間の休憩時間が導入される。体の冷却、水分補給などをするためだ。
「これで少し、気がラクになったというか、我々も引け目を感じずに水分補給できます」
そんなふうに話す大会関係者は少なくなかった。
そもそもだが、甲子園大会の放送ブース、記者席はスタンドにある。ベンチ裏にも待機室はあるが、大会中はスタンドのほうで待機する取材陣のほうが多い。「球児が炎天下で頑張っているのに、自分たちがエアコンの効いた部屋にいたら申し訳ない」と言うのだ。テレビ、ラジオの放送サイドでも水分補給が躊躇われるところがあった。
また、球児たちも「クーリングタイム」によって救われるようだ。
「体を冷却する時間と高野連は言っていましたが、出番を終えた球児がベンチ奥の日のあたらないところでジッとしているだけでも、体が休まるんです。そういうところは見せてはいけないみたいな脅迫観念もあったそうです」(学生野球担当記者)
「休む」ことに罪悪感がなくなる。球児たちにとってもメリハリが出て好プレーが続出するかもしれない。夏の頂点はどの代表校が掴み取るのか。
(飯山満/スポーツライター)