夏の甲子園「注目は7日目の先発」だけど…今大会最速150キロ右腕が「控え」になる可能性

 プロ野球12球団スカウトの願いは叶うか…。

 第105回全国高校野球選手権記念大会の組み合わせ抽選会が行われ、代表49校それぞれの対戦相手が決まった。その直後、あるプロ野球スカウトがこうつぶやいた。

「気になるのは、大会7日目」

 7日目第2試合で対戦するのは、東海大甲府(山梨県)と専大松戸(千葉県)。東海大甲府が県大会5試合で挙げた合計得点は55点。チーム打率4割3分3厘、本塁打7。攻撃力では今大会のナンバー1だ。その超・強力打線と対峙するのが、プロ注目右腕である専大松戸の平野大地(3年)。まさに注目の好カードだが、千葉県側からはこんな声も聞こえてきた。

「地区大会で専大松戸はサヨナラ勝ちで決勝戦に勝利しました。でも、平野クンは『蚊帳の外』だった…」(地元メディア)

 試合後、同校の持丸修一監督はエース温存について聞かれると、

「今日は使う気がなかったです。フォアボールの出るピッチャーは大事なトーナメントではアテになりませんわ」

 と、バッサリ。たしかに平野は準決勝で3回途中4失点で降板となっている。1年生の時から注目されていた好投手だが、速球派にありがちな制球難の欠点もあった。それを「どこまで克服できたか」が12球団スカウトたちの注目ポイントだったが、持丸監督の評価は厳しかった。

「専大松戸は控え投手のレベルも高いので、大事な決勝戦でエース温存ができたんだと思います」(前出・地元メディア)

 とはいっても、甲子園初戦の相手は5試合55得点の猛者。「制球難の不安アリ」でも、最速150キロ強の平野が投げると思われるが…。

「今大会でいちばん速いボールを投げるのは平野クンかもしれません。彼もスピードボールに自身を持っており、昨秋から力勝負に出る場面が目立ちました。『アテになりませんわ』というのは持丸監督の愛情でしょう。『頭を冷やせ、スピードだけがピッチングではない』と教えるためのね」(関係者)

 ちなみに専大松戸が勝利すれば、夏の甲子園大会での「県勢通算100勝目」となる。生まれ変わったエースがメモリアルを掴み取るか、それとも、他投手を先発させて強力打線に挑むのか。7日目の「持丸采配」が注目される。

 もっとも、プロ野球スカウトは「平野が見たい」と願っていたが…。

(飯山満/スポーツライター)

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