夏の甲子園「予定変更」で浮かび上がったコロナ対策の限界

「いきなりの予定変更」で、今年の夏の甲子園大会は幕を明けた。8月6日、第104回全国高校野球選手権大会が始まった。日本高野連は全試合の成立を目指しているが、3年ぶりの選手全員による入場行進はリハーサルのみ、本番は「各校主将のみ」と変更された。

 リハーサルが行われたのは、5日午前中。この時点で「選手が集まったり、近くにとどまらせるのはよくない」との意見は出ていたそうだ。高野連が絶対に避けたいのが、新型コロナウイルス感染による試合の不成立である。

「すでに浜田(島根)、帝京五(愛媛)、有田工(佐賀)、九州学院(熊本)の集団感染が確認されていました。そこに県岐阜商(岐阜)が加わり、九州国際大付(福岡)でも複数の体調不良者が出たとの報告がありました。高野連は浜田、帝京五、有田工、九州学院をもっとも遅い第8日に振り分けたんですが」(学生野球担当記者)

 しかし、それだけでは「試合不成立」は防げないようだ。

「組み合わせ抽選会後に陽性反応者が出た県岐阜商は4日目(8月9日)、体調不良者が出た九州国際大付は6日目(11日)に試合が組まれています。両校は試合のある日までに体調を戻すことはできるのか?」(関係者)

 高野連は試合開始の2時間前でなら、出場登録18名の選手の入替えを認める特例措置も決めている。また、試合日を延期させることもできなくはないそうだが、

「いつになれば快復するのか、誰にも分かりません。試合日の変更がいちばん難しい」

 との声も聞かれた。

 出場校の3年生は、高校入学とともにコロナ禍に見舞われた。活動の停止、練習時間の大幅な削減、集団練習の禁止、センバツ大会の中止、無観客試合…。最後の夏もコロナに泣かされるのか? 

(スポーツライター・飯山満)

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