夏の甲子園「応援団は当日移動」しかない頭の痛い理由

 高校野球の応援団は「当日移動」しかできない? 夏の甲子園10日目の第3試合で専大松戸(千葉県)は土浦日大(茨城県)に逆転負け。専大松戸の応援団は東海道・山陽新幹線の運転見合わせの影響で、甲子園入りできなかった。

「試合終了の瞬間、応援団はまだ京都・新大阪間の新幹線の中でした」(スポーツ紙記者)

 同校応援団が間に合わなかったことは大きく報じられたが、同時にこんな疑問の声も囁かれていた。なぜ、前乗りしなかったのか、と−−。

 結論から言うと、それはできない。同校に限らず、野球部員、ブラスバンド、チアリーディング、父母会など、甲子園出場校の応援団は「当日移動」が基本とされている。理由はおカネだ。

「応援団は約100人、前日移動となれば宿泊施設を確保しなければなりませんし、仮に車中泊だとしても、移動だけで大変な出費となってしまいます。関東圏の出場校は応援団の移動だけで1試合1000万円ほどがかかるとも言われています」(関係者)

 ブラスバンドが持ち込む楽器のなかには、個人が手荷物として運べないものもある。そのための運搬車も確保しなければならず、ここに出場記念のお揃いのTシャツやタオルなどの製作費用もかさむので、甲子園出場は一大プロジェクトとなる。

「甲子園出場の可能性が出てきたら、地元の観光会社や企業が学校側に売り込みを掛けてきます。修学旅行などで付き合いのある代理店との関係もあり、学校はひと苦労です。寄付金だけでは足らず、地元行政に臨時予算をお願いしたりして、甲子園出場を支える側も苦労しています」(同)

 また、専大松戸はエース・平野大地が1イニングも投げずに敗退となってしまった。学校側からこれまで伏せてきた平野の故障が明かされたが、短期間でのトーナメント大会でなければ、登板のチャンスはあったかもしれない。

 エースに無理強いをさせなかった同校の選手起用は立派だが、移動のパニックといい、専大松戸にとって色々な意味で忘れられない夏になったようである。

(飯山満/スポーツライター)

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