夏の甲子園どうなる?広がる「コロナ格差」と注目集まる“山奥の強豪校”

 先日、一部スポーツ紙に衝撃的な見出しが躍った。

《開催可否・夏の甲子園5・20にも判断》

《夏の甲子園開催ピンチ…高校野球春季大会、青森決定で47都道府県全て中止》

 日本高野連は政府の「緊急事態宣言」を受けて、4月22日に予定していた「夏の甲子園」の運営委員会を翌月20日に延期すると発表。また、青森県高野連が4月20日に春季の地区予選会および県大会を中止すると発表したことで、47都道府県すべての春季大会が取りやめとなった。これで高校野球界は、一時的にではあるが“機能停止”の状態となっている。

「夏の甲子園に関して、春季大会は地方予選のシード校を決めるうえで重要な『前哨戦』なので、組み合わせをどう決めるか、頭を悩ませるポイントです。また、それ以前に問題なのは、沖縄で準決勝まで行われた春季大会と同様に無観客で行うのか、選手の安全確保をどうするのかといった課題についてもまったく話し合いが進まない状況です」(高野連関係者)

 そんななか、「朝日新聞」は中止となった春の選抜に出場予定だった32校の動向を伝えている。4月15日時点で、選出校のうち、「班分け」などの対策をしたうえで通常練習を行っているのはたった4校。時間を短縮して練習を再開しているのは12校。休止(キャッチボール・ランニング程度)は約半数の15校におよんだ。

「やはり人口密度の高い大都市圏にある高校ほど、練習再開には慎重にならざるを得ない状況が伝わってきます。春夏で8度の優勝を誇る強豪・大阪桐蔭も、練習施設は山の上にあるものの、緊急事態宣言が発令されたことで、部員は全員帰省しました。こうしたコロナ禍による地域格差が生じるのはある程度、仕方ないかもしれませんが……」(スポーツ紙記者)

 無事に夏の甲子園が開催されたとしても、この時期の練習量の差は試合に大きな影響をおよぼしそうだ。ここでにわかに注目を集めるのが、あの甲子園常連校だ。

「高知の明徳義塾高校です。部員同士が接触するようなストレッチや密閉された室内でのトレーニングなどは避けたうえで、すでに自主練習を再開しています。このコロナ禍でも始動できたのは、何よりその練習環境。市街地から車で何十分もかかる山奥の“秘境”のようなところにあり、『あそこは収容所だ』と揶揄するOBもいるくらいです。出入りする人間をしっかりチェック・検疫できる体制が整えば、これほど安心して野球に打ち込める場所はありません」(前出・スポーツ紙記者)

 高校野球ファンの間では、その門に刻まれた「明徳野球道場」の名はあまりにも有名だ。新型コロナウイルスの蔓延が、夏の本番にどんな影響を及ぼすか。まずは球児たちの夢の舞台が整えられるよう、状況の好転を願わずにはいられない。

(渡辺俊哉)

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