3月27日(日本時間28日)にハリウッドで行われた第94回アカデミー賞授賞式。「ドライブ・マイ・カー」の国際長編映画賞受賞に日本中が沸いたが、一方で注目を集めたのが、主演男優賞を受賞したウィル・スミスによる殴打事件。発端はプレゼンターを務めたクリス・ロックが、脱毛症に苦しむウィル・スミスの妻を揶揄するジョークだった。これに腹を立てたウィル・スミスは檀上でクリス・ロックを平手打ち。生中継が一時中断される騒ぎになった。
3月29日放送の「めざまし8」(フジテレビ系)では「賛否 妻の“脱毛症”を侮辱され…司会者を平手打ち」とのテロップのもと、この話題を取り上げた。問題となったジョークを発した直後は、ウィル・スミスも笑みを浮かべていたことや、ウクライナ侵攻の渦中に受賞者が「暴力のない世界」を訴えていたにもかかわらず、全世界が注目する檀上で暴力行為に及んだことへの批判コメントを紹介した。
番組MCの谷原章介から話を振られた国際政治学者でコメンテーターの三浦瑠麗氏は「クリス・ロックは調子に乗ってるんですよ。とにかく何でも許されるというね」としたうえで「今の風潮は、調子に乗ってます。アカデミー賞は」と、アカデミー賞授賞式への批判を展開。「ウィル・スミスのこの行動(平手打ち)を指した時に、『かっこいい』という声がもちろん出てくるでしょう」と語ったあとに、持ち出したのが「ドライブ・マイ・カー」のテーマだった。
「有害な男性性(男らしさ)って訳されるToxic masculinityていう考え方があって、なんで妻が言われたのに夫が乗り出していって、『オレの女を』ってパンチするんですかねっていう。ここも、本来、先進的な社会だったら論点として出てくる話で…。妻が抵抗できないか弱い存在であることを前提にして、『俺の持ち物にケチつけて傷つけたな』っていうのは、これ世の中の暴力の基礎にある考え方で…」と持論を展開し、映画「ドライブ・マイ・カー」について、「村上春樹さんの原作よりもさらにさらに、そこらへんを手を入れて監督が、どうやって男性の主人公が自分の中の有害な男性性や自己愛やそういったものを乗り越えて他者に心を開いていくかっていう話でもあるんですよね」とコメントしたが、この後の三浦氏の話に、一部の映画ファンから悲鳴があがったようで…。
「三浦氏は『ネタバレはしないようにしますけど』と前置きしながらも、“若い男性のキャラクター”が有害な男性性を破棄して失敗してしまう顛末を紹介。そのうえで、有害な男性性が露見して暴力がまかり通ってしまったことに対して『批判的に見なきゃいけない』と述べていました。『ドライブ・マイ・カー』は全国上映されていますが、公式に紹介されているストーリーはごく一部で、頭をまっさらにした状態でこれから映画館で鑑賞しようと思ったファンには、まさに不要な情報で、ネタバレ感は否めなかったかもしれません」(エンタメ誌ライター)
三浦氏が言った“若いキャラクター”の有害な男性性とは? 未鑑賞の方は劇場で確認してほしい。