トランプが今度はアカデミー賞までディスり出したと話題になっている。
周知の通り、今年のアカデミー賞は韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が外国語映画として初の作品賞を受賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞と最多4部門に輝いたことで話題になった。また、映画の内容が格差社会を描いたものであったため、アメリカ社会の現状が受賞につながったといった声も上がっている。
ところが大統領、これがお気に召さなかった。2月20日に行われたアメリカ中西部コロラド州の集会で、まずは「(今年のアカデミー賞は)ひどかった」とハナから切って捨て、「いったいどうなっているんだ? 我が国は韓国との間に貿易面でそれなりの問題を抱えている。にもかかわらず、今年最高の映画に選んでやるんだ?」と不満をブチまけたのだ。
その上で、「風と共に去りぬ」や「サンセット大通り」といった往年のアメリカの名画を持ち出す辺りは単なる頑迷な老人ぶりなのだが、これは保守的なトランプ支持者へのリップサービスと読み取れぬこともない。
さらには、ようやく念願叶って主演男優賞を初受賞したブラッド・ピットにも言及し、「特にファンではなかった」、「(授賞式では)何やら知った風なスピーチをしていた。小利口な男だからな」と、こちらにもケチをつけた。
ブラピはトランプが初の大統領選に臨む2016年からトランプが大統領になることに批判的な態度を表明、その後、トランプ政権がパリ協定からの離脱を打ち出した際にも批判を繰り返してきた過去がある。そして、授賞式でもやはりパリ協定問題を批判。さらにはトランプの弾劾裁判問題での批判も口にした。これが、気に入らなかったというわけだ。
ただし、一見すると文化を解さないいかにもトランプらしいトンチンカンな発言ではあるが、こんな見方もある。
「映画批判の背景にある格差社会批判と文在寅の韓国左派政権、環境問題に熱心なブラピ批判のさらに先には、急進左派が躍進する民主党の大統領選候補者選びへの対抗意識が伺えます」(大手紙記者)
敵対勢力を見出してその話題を作る上手さは相変わらずということか。
(猫間滋)