プロデビューから長く両立してきた学業からの〝卒業〟もあった。2月16日、日本将棋連盟を通じて、1月末に高校を自主退学していたことを発表したのだ。
「昨年はタイトル戦が続いたこともあって物理的に学校に通えない時期が続きました。移動日を含めて、棋聖戦で3日間、王位戦で4日間拘束されます。それぞれが5番勝負、7番勝負と対戦が続くのに加えて別の対局もあった。対局以外の予定は絞っていたのかもしれませんが、事前研究の時間を確保したかったようです。昨秋の時点で退学の決意を固めていたとも言われています」(プロ棋士OB)
高校生から社会人になった今年もハードスケジュールは相変わらず。棋聖戦と王位戦の合間に、順位戦と叡王戦が組み込まれる過密日程が控えているが、
「勝者の宿命ですが、夏の暑さも相まって、体力の消耗が激しくなるでしょう」(屋敷氏)
とはいえ、藤井もただ呆然と待ち構えるだけではない。夏バテしない体力づくりに余念がないのだ。
「毎日の腕立て伏せと背筋10回ずつをノルマにしているそうです。実は藤井さんが退学をして最も気にしていたのは、運動機会の減少なんです。在校時も運動と言えるものは徒歩で学校に通うことぐらいでしたしね。通学の代わりに始めた散歩は三日坊主に終わったみたいですが、筋トレをして運動不足を解消しているようですね」(将棋専門誌ライター)
もっとも、こなれ感の出てきた袴姿にも努力の跡が透けて見える。
「今回の防衛戦で着用した藍のぼかしの入った羽織と淡い緑色の着物は、昨年の棋聖戦に勝利した副賞。防衛戦に備えて、都内の呉服店で着付けを教わってきたそうです。昨年の和装デビューでは、トイレに行くにもひと苦労でしたが、今では一人で着付けができるレベルにまで成長しました」(将棋専門誌ライター)
タイトルホルダーとしての自覚が、身だしなみの〝評価値〟を増大させたようだ。第2局は6月18日。舞台となる兵庫県・淡路島で、タイトル防衛を一気に手繰り寄せられるか。
*「週刊アサヒ芸能」6月24日号より