2025年3月25日、トランプ大統領は輸入自動車に25%の関税を課す政策を正式表明した。この措置は日本を含む全輸入車を対象とし、日本政府の除外要請が退けられた。
日本は米国への乗用車の輸出額が399億ドル(24年米国商務省データ)に上る重要な輸出国であり、この決定は経済に大きな影響を及ぼす。なぜトランプ政権は日本を除外せず、一律関税に踏み切ったのか。その背景には、アメリカ第一主義による貿易赤字削減、国内産業保護、非関税障壁への不満、外交戦略、そして政策の一貫性がある。
まず第一に挙げられるのが、アメリカ第一主義と貿易赤字削減である。トランプ氏は選挙戦から貿易赤字を経済の弱点とみなし、その解消を公約に掲げてきた。24年の輸入車総額は2140億ドルで、日本はメキシコに次いで輸入額第2位だ。高い関税で海外メーカーに米国での現地生産を促し、雇用創出を狙うのが狙いだ。3月24日の会見でトランプ氏は、韓国のヒョンデが米国で3兆円投資を決めた例を挙げ、「関税の効果」と強調した。そんな中、日本を除外すれば他の国も同様の例外を求め政策の一貫性が損なわれるため、特別扱いは回避されたと言えよう。
次に、日本の非関税障壁への不満だ。米国は日本の自動車市場の安全・環境基準を「不公平」と批判する。USTR(アメリカ通商代表部)の「2024年外国貿易障壁報告書」は、燃料電池車への最大255万円の補助金がトヨタに偏り、米国車の参入を阻害すると指摘。日本は技術基準と反論するが、米国はこれを報復の根拠とし、相互関税の正当性を主張した。こちらも除外すれば、貿易不均衡是正の機会を失うと判断されたのだろう。
第三に、外交・安全保障上の戦略がある。トランプ氏は同盟国にも防衛費増額を求め、日本にGDP比3%以上を要求。日本は22年に増額方針を示したものの米国の期待に届かず、関税を交渉カードとしてさらなる譲歩を迫る意図が窺える。トランプ政権は関税を外交手段として活用し、同盟国と非同盟国を区別しない。日本の除外により、他の同盟国への影響力も弱まる恐れをトランプ政権は懸念している。
また、政策実行力の誇示も背景にある。自動車関税は選挙公約であり、4月2日の発効を「解放記念日」と称するなど象徴性を強調。日本を例外にすれば、保護主義支持層から批判され、政権の信頼性が揺らぐリスクがあった。X上の声でも「一国優遇はありえない」との意見が見られ、強硬姿勢が支持基盤固めにつながると判断された。
結論として、日本を関税対象に含めたのは、経済的目標(貿易赤字削減・産業保護)、非関税障壁への対抗、外交的圧力、政治的信頼性の維持が絡んだ結果である。日本政府の除外要請では日米同盟の重要性を訴えたが、トランプ氏の優先事項の前では受け入れられなかった。この政策は日本経済に打撃を与える可能性が高く、今後の交渉での対応が急務である。
(北島豊)