東京五輪「開催拒否」でのしかかる違約金問題「総額3500億円の返金に加えて…」

 東京五輪開幕まで半年を切ったが、新型コロナウイルスの猛威は収まる気配すらない。感染者は世界で1億人を突破し、日本でも累計約40万人を数えるまでに…。そんな中、英タイムズ紙が五輪中止説を報道。だが、菅政権内部では強行説も浮上している。

「安全安心な大会を実現するため、IOC(国際オリンピック委員会)や各競技団体とも相談しながら、感染対策の具体的内容を検討しております」

 これは、1月20日の菅義偉総理(72)の答弁だ。衆議院本会議で代表質問に立った立憲民主党・枝野幸男代表(56)が、万一の事態に備えた東京五輪の「プランB(代替案)」について問いただしたが、のらりくらりと追及をかわし、「プランB」には触れずに終わった。

 現状、新型コロナのワクチン接種は2月下旬に開始予定。医療従事者と高齢者が優先されるため、到底、五輪開幕までに国民全員が接種完了となりそうにない。不安になるのも当然で、一部の世論調査では、8割が五輪の再延長や中止を望んでいるという。

 なのになぜ、政府は明確な答えを示さないのか。スポーツ法に詳しい弁護士で立教大学法学部の早川吉尚教授がこう答える。

「そもそも日本に中止する権限はないのです。五輪開催の決定権の全ては主催者であるIOCにある。つまり、中止を決定できるのはIOCだけなのです」

 そのIOC・バッハ会長は「東京五輪は開催する。『プランB』はない」と繰り返し明言している。そんな中、菅総理や東京都の小池百合子知事(68)が「コロナがヤバいんで‥‥」なんて言えるわけがないのだ。

「ただ、日本が場所を貸さないという手段をとることは不可能ではないです。会場が使えないとなれば、東京五輪は中止になります。しかし、東京都は五輪のために会場を提供する契約をIOCと交わしているわけで、当然ながら違約金が発生することになります」(早川氏)

 それが、どうも莫大な金額らしいのだ。全国紙運動部記者が真っ先に思い浮かべたのは、スポンサー企業への違約金問題だった。

「東京五輪の組織委員会と契約している国内スポンサーは、支出する金額によって『ゴールドパートナー』と『オフィシャルパートナー』『オフィシャルサポーター』に分かれますが、全部で68社。総額約3500億円を支払っています。これを返金したうえで、違約金まで払うとなると‥‥」

 大パニックは確実である。なにしろ3500億円超の違約金を求められるのは、

「開催地の東京都です。そんな莫大な金額を払えるわけもないので、政府も負担することになるでしょう。違約金はIOCの重要な収入源である各国の放映権料にも及びます。米のテレビ局だけで1大会約1200億円と言われており、それも日本側が支払わねばならないでしょう」(早川氏)

 五輪1大会を開催するのにウン兆円はかかるとされるが、中止になっても目玉が飛び出る金額が必要なのだ。誰も「中止」「開催拒否」を言い出せないのも無理からぬ話だ。

※「週刊アサヒ芸能」2月11日号より

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