「政府の皆さん、すみません」本田圭佑が緊急謝罪した“フェイク報道”の行方

「共同通信がフェイクニュースでヤバい方やったか。政府の皆さん、すみません」と、サッカー元日本代表の本田圭佑がツイッターで“緊急謝罪”したのは6月9日のことだった。ここで「ヤバい方」と名指しされた共同通信に対して、世間からは猛バッシングが巻き起こっている。

「発端は6月7日に共同通信が配信した『日本、中国批判に参加拒否』という見出しの記事。中国が香港で『国家安全法制』を導入するにあたって、アメリカやイギリスが共同で反対の声明を出そうと、日本に参加を呼び掛けたものの、日本政府はそれを拒否。中国政府との関係を考慮して、中国批判の姿勢を弱めたことで、結果的に欧米から失望の声があがっているというものでした。この報道によって、まるで日本政府が香港の民主化運動を黙殺しているかのような印象を与えてしまたのは事実です」(社会部記者)

 しかし、この共同通信の配信記事に、自民党の国会議員は猛反発。片山さつき議員は《G7で香港問題につき中国大使を呼んで抗議したのは日本だけ! 外相も官房長官も明確に発言!》とつぶやき、山田宏議員も《わが国が独自の声明を出した。後追いでEUが同様の声明となったというのが事実》と“火消しツイート”を相次いで発信する事態となった。さらに6月8日には菅義偉官房長官が会見で「米国や英国をはじめとする関係国は我が国のこのような対応を評価しており、失望の声が伝えられるという事実はまったくありません」と、問題となった共同通信の記事の一部を否定したのだった。

 これにはネット上でも《共同通信はフェイクを謝罪すべき》《どこまで中国寄りなんだ》《デマ記事だとすぐに見抜いて配信から削除した産経は偉い》などといったコメントが相次ぎ、「共同通信=フェイクニュース」の風評が一気に広まることとなった。

「菅官房長官は共同通信の記事にある『米国や英国などの共同声明に日本政府も参加を打診された』という部分について、打診があったかどうか、否定したかどうかについては明確にしていません。それだけに共同通信の記事が完全なデマかどうかは判断しかねますが、この問題について《中国批判声明に日本は参加拒否って何してるん! 香港の民主化を犠牲にしてまで拒否する理由を聞くまで納得できひん》と真っ先に取り上げた本田選手の評価が急上昇しているのは事実。本田選手のツイートがなければ、ここまで問題は大きくならなかったかもしれません。そして何より、《納得できひん》と怒りをあらわにしながら、“フェイクニュース”の匂いを感じ取るやすぐに謝罪した潔い姿勢は、多くのネット民が好感を抱いたようです。ただ、いまだ共同通信の記事にあるように、対中国批判の共同声明について、欧米から日本に打診があったかどうかは、まだ政府も回答を差し控えている状況なので、『完全なフェイクニュース』と断定するには少し気が早かったような気もします」(ネットライター)

 一連の騒動を受けて、夕刊フジが共同通信社に対して質問状を送ったところ、編集局の回答は「取材は尽くしています。配信内容に関するコメントは控えさせていただきます」というものだった。いずれにしても、香港の民主化運動をめぐって勃発した大手通信社の“フェイク騒動”が、本田の潔い性格を浮き彫りにしたのは事実のようだ。

(倉田はじめ)

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