上場企業35社が「早期・希望退職」募集、アパレル業界大打撃の要因とは?

 東京商工リサーチの調査によると、「早期・希望退職」の募集を行った上場企業が6月9日までに35社に達し、今年の約半年間だけで昨年1年間の数字に並んだという。この段階で35社を超えたのは2010年以来の10年ぶりで、この時は年間で85社が募集を行ったという。

 35社が募集した人数は6417人で、レオパレスの1000人、ファミリーマートの800人、ノーリツの600人などは人数が多いこともあって個別のニュースで報じられている。

 業種別に見ればアパレルでその動きは顕著で、オンワードの350人、レナウンの300人、片倉工業の100人などで5社に上るという。

「調査で報告されている通り、この業界は消費増税、暖冬そしてコロナと逆風が続きました。レナウンは経営破綻までしていますし、退職の募集は行ってないものの、もともと不振に喘いでいたサマンサタバサなどはさらにコロナが追い打ちをかけたことでコナカの傘下に入りました。多くのアパレルはメーカーとして製品の生産がメインで、販売は他社に任せていました。ところがその販路である百貨店などが閉まってしまったのだから、売りようがないわけです。一方、ユニクロは製造から小売まで一貫して行うSPA方式なので、ネット通販も行えることから致命的な影響を受けるまでにはいたっていません」(経済ジャーナリスト)

 これに次ぐ業種が、百貨店・コンビニ、輸送用機器、電機・精密機器、旅行・サービス業だ。コロナが直接に影響したのは5社で、ラオックスなどはインバウンド需要の激減が原因だと見られているが、その顔ぶれを見ると陰に陽にコロナが影響していることが窺える。

「2019年は業績が堅調な企業が募集を行うことから『黒字リストラ』と呼ばれる一連の動きがありました。景気が良いうちに将来的な市場環境を見据えて組織改編・スリム化を図ろうというものです。ところがここへ来ての動きは明らかに必要性に迫られたリストラです。企業は目の前のコロナ対策におおわらわだったはず。いったん落ち着いたことで業績の悪化をどう取り戻すか、ずるずると長引くコロナ禍で傷んだ企業体力回復のため、さらに多くの企業が、早期・希望退職の募集に乗り出すと考えられます」(前出・経済ジャーナリスト)

 大企業とそこに勤める従業員が本当の正念場を迎えるのはこれからなのかもしれない。

(猫間滋)

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