「決断と実行。」─7月の参院選で掲げたキャッチコピーは、国民総スカンの「国葬強行」を予見していたのか。盛大なイベントをブチ上げても円安危機や物価高に打つ手なし。〝解散命令〟が出されるのは教団が先か、それとも─。万事休すの岸田内閣を尻目に、前総理は覇権奪取に向けて牙を研いでいた。
就任1年を目前にし、岸田文雄総理(65)が崖っぷちに立たされている。
9月18日、毎日新聞の世論調査で「内閣支持率29%」と発表されたのだ。
にわかに風雲急を告げる永田町の動きを官邸キャップがリポートする。
「通常は支持率が3割を切れば危険水域と言われている。同時期に行われた世論調査では時事通信が32%、共同通信は40%でしたが、両者ともに前回より10%以上大きくポイントを減らす急落ぶり。参院選後は25年夏まで国政選挙がない〝黄金の3年〟と言われた岸田内閣ですが、このままでは年内を持ちこたえられるかどうかの大ピンチです。官邸内は早くも『総選挙のシミュレーションを始めなければ』と慌てふためいている」
就任半年間は6割を超える支持率を維持した岸田政権だが、参院選後と8月の内閣改造後の世論調査では連続して支持率を10%以上も急落させているのだ。
その大きな要因になっているのが、懸案となっている「旧統一教会問題」だと政治部デスクが解説する。
「茂木敏充幹事長(66)が行った全党調査が大失敗だった。8日には、379人中179人に接点があったと発表。しかし、そこには教団関連団体のイベントに出席した細田博之衆院議長(78)、同じく関連団体に祝辞を贈った麻生太郎副総裁(82)など大物議員の名前が抜けていた。そればかりか、岸田総理の懐刀である木原誠二官房副長官(52)が関連団体のイベントに出席していたことを後出しで発表。茂木幹事長は追加報告を公表するまでに追いつめられ、杜撰な調査ぶりを露呈させた。国民の支持を得るどころか、不信感を買い集める結果となったのです」
加えて2億5000万円の過小報告から一転、16億6000万円と修正した安倍晋三元総理の「国葬問題」が重くのしかかる。
「国民の国葬アレルギーは深刻で、これが政権与党の分裂を促進させる動きになっている。8日の閉会中審査で岸田総理は『民主主義を断固として守り抜くという決意』と主張したが、共同通信の世論調査では、反対が前回より7.5ポイント増の60.8%となったばかりか、連立を組む公明党の支持層でさえ、70%以上が岸田総理の説明に『納得できない』と答えており、求心力の低下は明らか。このありさまでは来年春の統一地方選で戦えないと、公明党が岸田内閣から離反しつつある」(デスク)
国葬は岸田政権の終わりの始まりとなるのか─。
その矢先、自民党内からも離反者が出た。小泉内閣で行革担当相などを務めた村上誠一郎衆議院議員(70)が国葬への欠席を表明したのだ。
「かねてよりアベノミクスなどの安倍政治を批判してきた村上氏だけに、即座に影響が出ることはない。しかし、村上氏が『財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊した。国賊だ』と痛烈に批判したことに萩生田(光一)政調会長(59)や世耕(弘成)参院幹事長(59)ら安倍派議員らが激高。党本部に厳正な処分を求めているが、村上氏にケジメをつけなければ安倍派のさらなる弱体化は必至です」(キャップ)
安倍元総理の暗殺事件以降、政権は糸の切れたタコのように制御不能となっているのだ。
*「週刊アサヒ芸能」10月5日号掲載。【2】に続く