ウクライナ東部のマリウポリで多くの市民が避難していた劇場が空爆を受けたのは3月16日のこと。劇場前の広場には上空からでもわかるように「子どもたち」と書かれているにもかかわらず、空爆によって劇場建物は中央部分が大きく崩れ落ちた。
日に日に残虐性を強めるウクライナ侵攻。その一方で、プーチン大統領に贈られた秋田犬の安否を気遣う声も聞かれる。
「2011年に東日本大震災が起きた際、ロシアは救助チームを現地に派遣し、毛布などの物資を大量に提供。その返礼として、翌年、秋田県から愛犬家と知られるプーチン大統領(当時は首相)にメスの秋田犬が贈られました。ニュース映像に映った小さい秋田犬が、ややうつむき加減で黒目がちだったことから、その絶望的とも言える何とも言えない表情が話題になったものですが、プーチン大統領は『ゆめ』と命名して溺愛。ロシアで発売された2017年のカレンダーには雪上で戯れるプーチン大統領とゆめの2ショット写真が使われていました」(ロシア事情に詳しいジャーナリスト)
緊迫した状況の中、NHKが3月4日に配信したのが、ゆめを生後3カ月まで育てた男性へのインタビューだった。記事の中で、秋田県大館市のブリーダー男性はウクライナ侵攻について、「どんな理由があろうとも話し合いで解決すべき」「軍事行動を起こすことはよくないこと」「強引なやり方でこのような事態を起こしていて情けない」とプーチン政権を激しく非難した。
この記事は海外版サイトにも掲載され、「Man who raised Putin’s Akita dog calls invasion ‘a shame’」とのタイトルがつけられた。直訳すると、「プーチンの秋田犬を育てた男性は侵攻を“恥”と呼ぶ」。プーチン大統領にとっては挑発とも受け取られかねない記事が出たこともあって、ネット上では《ゆめちゃん心配になってきた》《どうか無事であってほしい》《まさか収容所送りとか…ないよね?》といった安否を気遣う声が見られた。
「NHKの記事はロシア語でも配信されているので、万が一、プーチン大統領の耳に入ったら逆鱗に触れるのでは…と、心配するのも無理はありません。ゆめは2012年4月生まれですから、もうすぐ10歳。大型犬は寿命が短く、10歳から12歳と言われています。ゆめの映像が最後に撮られたのは2016年。日本テレビと読売新聞がクレムリンでインタビューを行った際、プーチン大統領がゆめを伴って現れたのです。その時は記者に向かって吠えるゆめを優しくなだめて餌を与えていたようです。ゆめがきっかけで、ロシアで秋田犬ブームが起きたのが遠い昔のように感じます」(同)
日露交流の架け橋となった秋田犬が、再びメディアに登場する日は訪れるのか。