最近では松屋の期間限定メニューに郷土料理の「シュクメルリ」が採用され、日本での知名度が大幅に上がったジョージア。黒海に面した日本の5分の1ほどの面積の同国は、1991年にソ連から独立を果たしている。以後は、ロシアではなく、西側寄りの姿勢を取ってきた。
近年は悲願とも言えるEU加盟に向けて交渉を重ねていたが、10月に突如、交渉を停止したことを発表。白紙に戻したことで国民が激怒し、首都トビリシやバトゥミなど国内各地で大規模なデモが起きる事態となっている。
突然の方針転換の背景には、親ロシア派の政党与党「ジョージアの夢」と、同党所属のコバヒゼ首相の存在が大きく関係していると言われる。旧ソ連圏の情勢に詳しい全国紙国際部記者が解説する。
「22年にジョージアとウクライナ、モルドバの3カ国がEUへの加盟申請を行いましたが、ジョージアだけが加盟候補入りを見送られています。報道の自由がないなど、人権上の問題があると判断されたためですが、これにジョージア側が反発し、一転して反EUの姿勢を見せるようになりました」
同国では今年、活動資金の2割以上を国外に依存するメディアや、NGOを規制する新法が成立したが、これは、12年にロシアで制定された法律と酷似していた。それゆえ、ジョージアの方針転換の裏にはロシアの関与があると指摘する声もあるのだ。
「『ジョージアの夢』は、もともと6つの政党が合併して生まれています。ただ、以前は現在のように親露主義を打ち出していませんでした。一方、南オセチアとアブアジアの両地域は、ロシアが実効支配しており、軍も駐留。結果的にロシアに歩み寄った形です」(前出・記者)
海外では、今回の方針転換を「プーチン大統領の意向によるもの」と報じるメディアもある。ここでも強国の論理をまかり通そうとしているのか、プーチン氏の動向から目が離せないのである。