来季より、米マイナーリーグでロボット審判が一部で導入される。これは、大リーグ機構のロブ・マンフレッドコミッショナーの発表で、その名の通り、コンピューターが機械的にストライクかボールかを判定するものだ。
「今年、MLBと業務提携した米独立リーグで試験的にロボット審判が既に導入されており、メジャーの秋季リーグでも試用されました」(スポーツ記者)
走者と捕手の衝突を防止する「コリジョン・ルール」や、アウトかセーフかをVTRで確認する「リクエスト制度」など、近年、メジャーリーグで導入された新ルールが1年遅れで日本でも採用される流れとなっている。ロボット審判がメジャーに採用されれば、NPBに導入されるのも時間の問題だろう。
さて、そのロボット審判の仕組みだが、バックネット付近に高性能カメラを設置し、ストライクかボールかの判定が主審のイヤホンに伝達され、主審がコールする。ただ、ロボットと主審の判定が食い違った場合は、主審の判断が優先されるという。
米球界では選手は諸手を挙げての賛成ではないものの、プレーの公平化が図れるとしてロボット審判制度を受け入れることになりそうだ。だが、日本においては大きな混乱も予想される。
「そもそもロボット審判の導入が検討されたのは、誤審を防ぐというよりも、判定が安定しない弱点を解消するためでした。人間がやっている以上、疲れなどで判定が微妙に異なってしまいます」(同前)
「判定が安定しない」を日本流に置き換えると「感情」だ。プロ野球OB、甲子園で活躍した元球児たちによれば、スター選手がスタンドを味方につけると、相手チームは“力以上の何か”を感じるという。
「斎藤佑樹が夏の甲子園で熱投を繰り広げたときは、日本中が彼を応援。松坂大輔とPL学園の熱戦にしても同様です。元甲子園球児たちに聞けば、スタンドを味方に変えた選手、チームにはグラウンド内でもプラスαが起こりうると話していました」(同前)
ロボット審判はこうした感情を一切排除したもの。もちろん審判の公平性は疑うべくもないが、ロボット審判施行によって、怪物、王子、超高校級などのドラマは少なくなるかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)